「悪い人間には見えなかった。むしろ、最近では珍しく、洗剤を持って引っ越しの挨拶に来たりと折目正しいところがあった。作業着やパーカー姿でリュックを背負い、50ccのスクーターや軽トラックで朝早く出勤していた。一度だけスクーターを通行の邪魔になる場所に停めて“ここに停めるな”と張り紙されていたことがあった」(同住人)
転居と同じタイミングで農業の仕事に就いたが、昨年12月半ばに突然辞めてしまったという。
「愛想のいい男で、仕事はまじめに取り組んでいた。なぜか、ときどき名古屋に行っていたが彼女がいるとは知らなかった。3か月ちょっと経ったころ、急にバックれて仕事に来なくなったんだ。電話して“おめえ、何やってんだ”と尋ねたら、“上のやり方についていけない。イヤになっちゃって”と言う。若造じゃあるまいし、そんな無責任なことないよね」(元同僚の男性)
容疑者の知人男性によると、前職は茨城県の卵生産農家で働いていた。農業のほか解体工や建設作業員などの職人経験もあるが、いずれも長続きしなかった。
「殺害された西岡さんは、周囲が“やさしい人”と評する温厚な人柄で知られていた。長女は相馬容疑者とネットで知り合ったといい、“料理を作ってくれる彼氏”などと紹介していたようだが、仕事をすぐ辞めてしまう堪え性のなさと生計面は西岡さんも心配していたらしい」(前出・記者)
仕事ぶりはまじめでも、無職だったから安定収入にはほど遠い。その上、就職するには越えなければならないハードルがあったとみられる。
前出の元同僚は、一緒に働き始めてしばらく経ったある日、相馬容疑者が急にこんなカミングアウトをしたことを覚えている。
窃盗でパクられて刑務所に入っていた
「知ってましたっけ?実は俺、窃盗でパクられて刑務所に入っていたことあるんすよ」
2004年~2010年にかけ、仲間3人と神奈川、静岡、香川各県で約370件の窃盗や強盗を繰り返したとして逮捕。侵入先で電話線を切断して警備会社などに連絡できないようにする手口から“電話線切断広域窃盗事件”として3県警による合同捜査本部が設置された重大事案だった。
「いわゆる金庫破りで、狙ったのは閉店後の店舗など。居残っていた従業員にケガを負わせるケースもあった。被害総額は約2億1000万円とみられ、奪った金は遊興費に使ったと話した」(前出・記者)
別の知人によると、相馬容疑者はこの強盗・窃盗事件前は妻子がおり、家族仲もよさそうだったという。出所後は別の場所に転居し、妻子と愛犬と暮らしていたとみられる。転職と転居を繰り返し現在はひとり暮らし。