「オーディション」で入団を決定する

 少年合唱団に入団するには、オーディションを受けることが必要だ。少なくとも音楽の素養や、ドイツ語をはじめとした語学力などが必要であると思われるが、オーディションの内容に関しては公開されていない。

 現在では世界中から入団希望者を募っており、2009年には初の日本人メンバーが入団したことも話題になった。今回来日するメンバーは顔とファーストネームのみが公開されており、なかでも日本人のメンバーは11歳から14歳までの3名。ただ、個人を深掘りしないのは、合唱団の方針でもあるという。あくまでも「合唱団のメンバー」として楽しんでほしいということだ。

「彼らは歌を通して世界中とつながる『音楽大使』のような使命を持っていると思います。世界各地をツアーで回っていますので、合唱団が歌う様子を見て憧れて応募をしてくるというケースも少なくないようです」

美しいボーイソプラノは普遍的な人気(C)www.lukasbeck.com
美しいボーイソプラノは普遍的な人気(C)www.lukasbeck.com
【写真】あどけない表情がかわいい!笑顔が素敵なウィーン少年合唱団

 ちなみに少年合唱団は全寮制で、団員はウィーン北部のアウガルテン宮殿で卒業まで生活をするという。ある時に公開された1日のタイムスケジュールによると、朝起きて7時半から勉強を開始、11時には合唱の勉強、13時にお昼。午後は授業と歌の個人レッスン、宿題をやり、18時に夕食。21時には就寝という驚愕の規則正しさ! 入団してからも相当な努力・体力が必要であることは間違いない。

有名音楽家の名を冠した組分け

 ウィーン少年合唱団のメンバーは約100人で、1クラス25人の4つの組分けがされている。今回来日する「ハイドン組」のほか「モーツァルト組」「シューベルト組」「ブルックナー組」の4つだ。どれもオーストリアの音楽の巨匠の名前だが、実際に合唱団とゆかりがあるのだろうか?

「ハイドンはウィーン少年合唱団とゆかりのあるシュテファン大聖堂の少年合唱団の団員でした。ウィーン少年合唱団の助っ人を務めたこともあるようです。モーツァルトは宮廷作曲家として合唱団のために作曲をしています。

 シューベルトは実際に団員として参加しており、ブルックナーは礼拝堂のオルガニストで少年たちに合唱指導をしていました」

 さすが、音楽の都! また、4つの組に分かれているのは、その活動が多岐にわたることに理由がある。

「彼らは毎日曜日の礼拝堂のミサで歌い、また国歌を合唱する行事への参加や、外国へツアーに行きます。お休みをとったり、お勉強をしたりを考えると、複数のクラスがあることが必要なのだと思います」

あどけない笑顔を見せるウィーン少年合唱団(C)www.lukasbeck.com
あどけない笑顔を見せるウィーン少年合唱団(C)www.lukasbeck.com