アナウンサーの本質と役割
──女性アナの本質と役割も変化したのだろうか?
「基本的には変わらないと思います。局アナの場合、局の看板を背負っているので、発言についてある程度の縛りがあります。局アナでなくても常識や客観性を持ってなくてはならず、事実を伝えなくてはなりません」(寺田さん)
半面、アナの世界で変わってきたこともあるという。
「女性アナ、男性アナの壁はなくなってきていると思います」(寺田さん)
確かにそうだ。『news zero』(日本テレビ系)は有働由美子アナ(54)、『news23』(TBS系)は小川彩佳アナ(38)、フジテレビ系『FNN Live News α』は堤礼実アナ(29)がそれぞれMCを担当している。ほかにも女性アナがメインを務める番組が増えた。かつての常識では考えられない。
ベテラン女性アナの中には「もう『アナ』の前に『女性』とか『男性』とか付けなくてもいいんじゃないの」と言う人もいる。実際、一般企業は多くがわざわざ男性社員と女性社員を分けて呼ばない。
アイドル出身の女性アナはもう普通と言っていい。次は男女を問わず「アナ」とだけ称することが当たり前になるのではないか。
お話しを伺ったのは……寺田理恵子(てらだ・りえこ)1984年、聖心女子大学文学部卒業と同時にフジテレビに入社。バラエティからニュースまで幅広く担当した。1989年に退社し、フリーに。40代で武蔵野大学人間関係学部に学士入学し、卒業。現在は認知症防止にも役立つ「音読」の普及にも取り組んでいる。昨年12月に発売された最新著書も『四季を感じる毎朝音読―心と脳が若くなる』(さくら舎) 。今年1月にはYouTubeチャンネル『寺田理恵子の音読ちゃんねる』も開設。(https://www.youtube.com/channel/UCX4OIU11Apeyl0WVUvPLX1w)
取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。