インフルエンサーはSNSなどを通じて情報発信をするが、職種や業種を表す肩書を持たない人も多い。
肩書があるにもかかわらず、よくわからないという人も。メンタリストのDaiGo(36)の肩書も違和感を覚えると佐々木氏は言う。
「本来、メンタリストはあくまでも心理学知識の一端を利用したマジシャンですよね。ただ、動画配信では論文や研究結果に基づき、さまざまなテーマを解説しています。
YouTubeチャンネル登録者数は210万人を超え、ニコニコ動画のチャンネル会員も14万人を突破し、ニコニコ動画ではダントツのナンバー1。絶大な支持と信頼を集めています。メンタリストという肩書はほかではあまり聞かないので固有名詞のようですが、名乗ったもの勝ちなところもありますよね」
肩書の持つ意味が薄くなった
発信し続けている人は、ネットニュースで取り上げられることも多くなる。例えば、はあちゅう(37)。大学在学中からブログを執筆し、電通を経てドクターエステ・コスメ専門サイト『キレナビ』編集長などを歴任してきた。
「はあちゅうさんは昔からなにかとネットでは話題になります。元AV男優のしみけんさんと事実婚し一児を出産。昨年9月に事実婚を解消したことなどでも話題になりました。以前に勤務していた電通でのパワハラ告発など、なにかと騒がれやすい話題が多い。そうしたネットニュースだけを見ると、この人は何をやっている人なんだろうという声が出るのも仕方ないのでは」
はあちゅうはまだブログというものがあまり知られていないころから執筆しており、昔から発信し続けてきた。“元祖インフルエンサー”と言われることもある。
「ブロガーは、作家やエッセイストともいえます。実際、本も出していますしね。はあちゅうさんのような方たちは、“今稼げる波”にしっかり乗ることができる人たち。その時代に適した媒体をいち早く利用し発信しています。
YouTuberといえばそうですし、インスタグラマーといえばそう。チャンネルが増えたことで肩書が何かわからなくなってしまいますが、なんでもやれるマルチな人なのだと思います」
しかし、自分を特徴づける称号があったほうがわかりやすい。SNSでは今までとは違う肩書も増えている。
「例えば、“○○の嫁”として有名になる人も増えました。赤井英和の嫁や、YouTuberでへずまりゅうの妻の“へずま嫁”など。有名人の妻だけでなく、一般の人もSNS上で“○○の嫁”が肩書のように使われるようになっています。
自身をわかりやすく認知してもらうには、いいのかもしれません。そこに共感を得られればいいですし、職種や業種などを表す以外の肩書が増えるのでは」
佐々木氏は肩書というものが形骸化していると指摘する。
「昔から肩書には胡散臭いものもあり、肩書に騙されたという話はよく聞きました。それは、肩書にこだわる人や、肩書で判断する人が多かったからでしょう。時代は変わり、肩書の持つ意味も薄くなりました。それを逆手にとって、臨機応変に肩書も変えられる人が生き残るのかもしれません」
自己申告で何者にでもなれる時代、名乗ったもの勝ち!
佐々木博之 芸能ジャーナリスト。宮城県仙台市出身。『FRIDAY』で取材活動をスタート、記者歴37年のなかで数々のスクープを手がける。現在はテレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中