閉経後の出血はたった一度でも婦人科受診を

 特に40代後半以降は、リスクが高まる要因に当てはまらなくても「月経周期の乱れを感じたら子宮体がんの可能性を疑ってほしい」と清水先生は指摘する。

 52歳のある女性は、5か月前から月経周期が不規則になったため、“月経不順”を訴えて診察を受けたところ、子宮体がんが見つかった。

「2回の経産歴があり、肥満でもなく、閉経後でもありません。子宮体がんのリスク因子がない人でも、閉経が近い年齢の人は20代、30代に比べて発症する可能性が高まる病気だという意識が大切です」

 その女性は、初期での発見だったので幸いにも手術のみで完治。“不規則な出血”を見逃さずに受診したことが功を奏した。

「子宮体がんのもっとも顕著な症状は出血です。40代後半以降、月経のタイミングではないときの出血は、たった一度、ごく少量でも“大丈夫”と思わないほうがいいです」

 特に、閉経後は“まったく出血しない状態が正常”だと心得て、おりものが少しピンク色になったり、下着に少し茶色の血がついた程度でも受診をすること。

 また、罹患率はかなり低いが、子宮の筋肉などからできる悪性腫瘍の「子宮肉腫」も閉経後に気をつけるべき病気として知っておきたい。

「ほかに、命にかかわる病気ではありませんが、子宮の位置が下がってきて尿漏れなど生活の質に大きくかかわってくる『子宮下垂』や『子宮脱』も、シニア世代になると増えていきます。骨盤底筋を鍛える運動などで早めの対策をしておくとよいと思います」

 逆に、子宮筋腫や子宮内膜症は、月経が終わることによって発症しなくなる。

「閉経時に治療が必要なほど大きな子宮筋腫でなければ、閉経後は自然と小さくなり寛解します。年に1度程度の経過観察だけで問題ありません」