唐揚げの本質は、“固さ・臭み”をクリアにすること
大幅に店舗数が増加していた唐揚げ専門店だが、なぜ今年は微増に終わったのか。'22年までのここ数年、ブーム的な開店ラッシュから見ると、閉店増加と見えることも仕方ないのかもしれない。
「微増となった理由は、日本全国を地方別に分けると見えてきます。分類して比較すると、関東だけで減少しています。そのほかの北海道・東北、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄……すべてのエリアで増えているなか、関東だけが減っていて、その分のインパクトが大きかった」(八木専務理事、以下同)
関東エリアをさらに分けると、東京では昨年比で86店舗減となっている。
「東京での減少についてはメディアでも言われているように、過当競争になっていること。お客様の目が厳しくなっているので、下手な唐揚げを出すとやはり人気が続かないということが大前提であります」
客が見限るいちばん理由であろう味については、唐揚げの歴史が絡んでいるという。
「戦後、アメリカの主導のもと、養鶏政策で“鶏卵を食べろ”ということで、全国で養鶏場が増えました。鶏卵のために鶏を育てて、採卵期間を終えた廃鶏をどうやって美味しく食べるかということで調理方法が発展した。唐揚げの歴史としてそれがあって、“鶏肉との戦い”がありました。当時の唐揚げというのは肉が固く、そして臭みもあった。ご当地唐揚げというものがありますが、それを解消するために日本各地で調理方法が発展した唐揚げであり、特にご当地唐揚げのエリアになります」
唐揚げの本質は、“固さ・臭み”をちゃんとクリアできているか、がポイントだという。
「それができていないお店が潰れています。たとえば閉店が相次いでいるといわれる某大手チェーンによる唐揚げ専門店は、揚げた唐揚げの外側にスパイスやソースで味を付ける。揚げる前の肉をタレに漬け込みもしますが、浅漬けです。外国産の鶏肉を使っていますが、外国産はやはり時間が経つと臭みが出てくる。解消するために漬け込み用のタレを工夫する必要があるのですが、浅漬けなので肉に臭みが残ります。それをごまかすために揚げた後にタレやスパイスをかける。
これまで唐揚げを名物として出してきたお店で、潰れたところは本質をまず見誤っている。固さ・臭みを解消してないところが残念ながら潰れる。それが大きいですね。そこをちゃんとしているチェーンさんは続いているわけです。正直言うと、潰れている店のほとんどはそこだけというか……」