ラーメン店と比較すれば過当競争でもない

 都内でいえば、現在至るところにあるように見える唐揚げ専門店だが、唐揚協会の調査によれば'09年時点では10店ほどとごく少数だった。それが牛肉や豚肉、魚と比較して安価な鶏肉という食材、店は小スペースでできるので開店コストも安く抑えられ、ランニングコストも安いということで、ここ数年で爆増。しかし、その“成長期”はいささか終わりつつあるように見える。そんな唐揚げ専門店の“未来”をどう考えるか──。

「やはり減少が見られるのは東京・神奈川・埼玉、いわゆる都市圏。そこでは減っていますが、全国的にはまだ伸びているという事実があります。なので、唐揚げ専門店がまだあまりない地域なら可能性はあります。店舗数の伸びは鈍化していますが、今後ブームが続くとしたらまだ出店されていなエリアは可能性がまだ十分残っています」

 店舗数が爆増し、それゆえに減少も起こった都内だが、人口あたりの店舗数は全国的に見ると多くはない。たとえば“唐揚げの聖地”として知られる中津市のある大分県は、人口10万人あたり18店舗あるという計算になる。九州最大の都市部である福岡県は10万人あたり10店舗。対して東京都は3店舗となる。

「店舗数が伸びる余地はまだあると考えています。味がよろしくない唐揚げ店が潰れていくというだけで。店舗数で考えたとき、ラーメン店と比較すれば過当競争でもないのです。専門店という業態自体は、これからもエリア出店さえ間違わなければ全国的に伸びていくと考えています。また、コンビニのチキンが好きな外国人旅行客はかなり多いので、そこを取り込める可能性も秘めています」

 唐揚げはその名のとおり、“唐”すなわち中国で生まれたといわれる。同じく中国で生まれ、日本に輸入されたラーメンは、イノベーション・ローカライズがなされ、日本の国民食となり、さらには海外に輸出されるほどに。唐揚げはブームを経て、そして今後の進化によって、ラーメンと並ぶような国民食・輸出されるような日本食になれるか──。