『本因坊戦』が優勝賞金が3分の1に大幅縮小

 公表されていないからといって、棋士が裕福な生活を送っているわけではない。

プロ棋士は160名ほどいますが、年収1000万円クラスはひと握り。平均して800万円くらいだと聞いたこともあります。一獲千金を狙い棋士を志す人は、ほぼいないでしょうし、お金に興味がない人が棋士には多い印象です」(将棋観戦記者、以下同)

 大好きな将棋にしか興味がなく、お金は二の次。藤井も例外ではない。

「お金を稼ぐことにも、使うことにもあまり興味がないでしょう。将棋の研究のためにパソコンの高いパーツを買ったとか、そういう話しか聞きません。唯一あるとすれば、対局時に着用する着物ですかね。7冠となった今では、数多くのタイトル戦に出るため、100万円以上するような和服を何着も仕立てていると思いますが、それは必要経費ですから」

愛用する半導体企業『AMD』にも広告起用された藤井聡太(PCの公式サイトより)
愛用する半導体企業『AMD』にも広告起用された藤井聡太(PCの公式サイトより)
【写真】意外と活発だった!? 藤井七冠のかわいらしい小学生時代

 過去のインタビューでは《普段、買い物をほとんどしない》《自販機で飲み物を買ったときにぜいたくしちゃったなと思う》

 などと語っており、お金の使い道に関しては“下手(したて)”な様子。

 だが、藤井は将棋界の“金”未来を背負っている。

「タイトル戦の賞金や対局料は、スポンサーである新聞社から支払われますが、ここ数年、新聞業界の台所事情は厳しい。囲碁界では、すでにその影響が表れています」

 今年3月、戦前から続く歴史あるタイトルの『本因坊戦』が大幅縮小。スポンサーの毎日新聞は、優勝賞金を2800万円から850万円へと、3分の1ほどに減額した。

将棋界も他人事ではありませんが、今は“藤井ブーム”で注目を集め、新聞社以外のスポンサーも参入しはじめました。プロ競技としての将棋が存続するためにはお金が必要ですから、将棋界の未来が藤井さんに懸かっているんです」(前出・全国紙記者)

 8冠を達成してからが、本当の勝負なのかも。