目次
Page 1
ー 離婚して新しい人生に向かいたいと考えるのは自然
Page 2
ー 慰謝料は200万から300万円が限度

 最近、急増しているのが20年以上連れ添った夫婦が別れる熟年離婚。厚生労働省によると2020年には離婚した夫婦のうち、21.5%が当てはまり、過去最高に。「子どもが独立すると身軽になって妻から切り出すケースは多い。金銭面と体力に余裕があるなら、60代でも躊躇しません」と離婚の専門家。人生後半からの再出発を「吉」とするための準備と心がまえとは―。

離婚して新しい人生に向かいたいと考えるのは自然

「ここに至るまで、私たちにはとても長い年月がかかりました」

 6月7日、田中美佐子が自身のインスタグラムで深沢邦之(56)との離婚を発表した。28年前、深沢が田中の付き人となったことから交際がスタート。

 “収入格差100倍婚”ともいわれるなか、'02年に田中は43歳で長女を出産。仲睦まじく子育てをする様子も伝えられたが、一方で深沢のテレビ露出は次第に減少。“格差”が埋まらないなか、今年、娘が成人を迎えたことで夫婦関係にひと区切りをつけたのではと報じられた。

 芸能界きってのおしどり夫婦といわれていた元タレントの清水圭(61)と香坂みゆきの離婚が報じられたのは5月17日。香坂は'97年に長男、'02年に次男を出産。

 お笑い芸人だった清水は、関西ではレギュラー番組を複数抱える売れっ子だったが、時流に乗れずいつしかテレビではあまり見かけないようになった。昨年4月には自身のブログで芸能界からの引退を宣言。一方の香坂は情報番組でのMCや歌手活動の再開と活躍の場を広げている。

 先月、自身のインスタグラムで大胆なミニスカート姿を披露し、「どんどん若くなっている」「セクシーすぎ」と話題となったのは、熊谷真実

 2021年に、18歳年下の夫と離婚を発表。現在は移住先の静岡で農業を楽しみつつ、63歳で歌にも挑戦しディナーショーも開催するなど、年を感じさせないアクティブさは増すばかりだ。

「今の60代の女性って、見た目も内面も若々しい方が増えましたよね。特に芸能界で活躍しているタレントや女優さんたちは、周りから“まだまだ若いですね”と言われる機会も多い。“まだまだ若い”なら、うまくいかない結婚でくすぶっているより、離婚して新しい人生に向かいたい、と考えるのは自然なこと。行動的で魅力的な熟年女性が増えてくると、離婚率が上がるのは自然のなりゆきだと思います」

 そう話すのは、夫婦問題研究家でパートナーシップアドバイザーの岡野あつこさん。

「とはいえ、中高年からの離婚は、やっぱり大変なんです。長く生活してきたことにまつわる人間関係やらお金のしがらみが多い。エネルギーを奪われすぎて、途中で挫折してしまうこともあります。それでも離婚をおすすめするのは2つのケース。まずひとつは夫が長年の妻の内助の功を認めていない場合です」(岡野さん、以下同)

 専業主婦として家庭を支えてきた妻への感謝の気持ちがなく、自分が大黒柱であるという主張だけは強い。妻を認めないばかりか長年にわたってモラハラしているケースも。

今の60代女性は自分の母親が耐える姿を見てきています。夫に対してガマンするのが日常的、と思っている最後の世代なのです。でも、男女関係も時代とともに変わってきていて、ガマンが美徳とは誰も思わない。自分の子どもに“お母さん、もうお父さんと一緒にいなくていいよ”と言われて、離婚を決意する人もいます」

 そして、もうひとつのケースは「お金をひとり占めする夫」と岡野さん。

「家計がいつも苦しい、パートナーがお金を渡してくれないという場合は、離婚することによって、預貯金が手に入るんです。2007年には年金分割が認められました。ふたりで築いた財産や年金を半分もらって、新しい人生を切り開いたほうがお得な場合は離婚一択、です」