ここ日本でも、ほとんどストーリーが変わらない勧善懲悪を主とする水戸黄門が人気だったように、“お約束”は安定した面白さを提供する。 スプラッター映画の人気が高いのは、“お約束”があることも一因だろう。
「私自身、陰キャですから、『13日の金曜日』を見るたびに陽キャがやられスカッとしてしまう瞬間が(笑)。ホラーとしての怖さを体験しながら、どこか爽快感も味わいたい。そういう方におすすめしたい作品です」
“悪魔”の汎用性
また、先に挙げた『エクソシスト』をはじめとした、悪魔系も根強い人気を誇るホラー映画だろう。
「ラッセル・クロウが主演を務める『ヴァチカンのエクソシスト』という映画が、7月から日本でも公開されますが、悪魔VS悪魔祓いも鉄板ネタです。'13年に1作目が公開された『死霊館』シリーズなどを見るとわかりますが、悪魔のしわざによって、さまざまな超常現象が起きる。それを悪魔祓いや霊能力者が解決していくわけですが、悪魔は再び誰かに取り憑き、同じことが起きていく。欧米では悪魔の存在は永遠ですから、いうなれば商材として優秀なんですね(笑)」
困ったら悪魔─ではないが、料理におけるめんつゆのような汎用性の高さが、ホラー映画における悪魔なのかもしれない。
「アメリカの大作映画は、サマーシーズン、レイバー・デー、サンクスギビング、クリスマスといった連休シーズンにあてるのが一般的。その合間をつなぐ、興行成績的にも安定感があるジャンルがホラー。量産されてきたため、B級映画のようなジャンクな内容になるケースも珍しくない」