今回の旅のメインイベント、世界中からフェルメールの絵が集まったフェルメール展。画集で観ていたとはいえ、絵のサイズが思ったより大きくて驚いたという。
「迫力が全然違う。でも描かれている人物の顔がすごく柔らかくて優しげで。ゆっくりと鑑賞できました」(みずきさん)
夢だった『牛乳を注ぐ女』の絵には、感動のあまり近寄れないほど。たくさんの人の後ろで、動画でもうれし泣きしながら鑑賞する姿が印象的だった。
「他の絵と比べるとそんなに大きくなかったのですが、ホントに美しい絵でした! 思う存分観ることができて本当に満足です。フェルメール展にはトータル4時間いました(笑)。それにつきあってくれ、夢を叶えてくれたこうへい君に感謝、感謝ですね」(みずきさん)
腹部最難度の手術を控えて「食べられるようになるか」の不安
がん闘病を忘れるような“ごほうび旅”を主治医が薦めたのは、みずきさんが行った「膵頭(すいとう)十二指腸切除術」がかなり難しい手術であることも大きい。これはすい臓の上部・膵頭の1/3と十二指腸、胆のうなどをとるもので、ほかに転移がなく、上部にがんがある場合の標準的な手術とされる。
「実は義母と僕はみずきが最初の入院中、病院が主宰するすい臓がんのオンライン勉強会に参加し、この手術について耳にしていました。手術が成功しても毎食ごとに服薬が必要になり、今のような健康な状態には戻らないかもしれないと聞いていました」(こうへいさん)
この手術の術後の死亡率は1~5%、合併症を起こす確率は30~60%(国立がんセンターHPより)。すい臓の切除量によっては、すい臓が作っているインスリンホルモンの分泌量が減ってしまうといわれている。
「最初は住んでいる北海道内で手術をするつもりだったのですが、2人で話し合い、以前セカンドオピニオンをとったとき、僕たちにいろいろと詳しく説明してくれた、道外の消化器外科の先生に手術をお願いすることになりました。リスクがある手術なので、少しでもリスクが低いところにしたいと」(こうへいさん)