――吉田容疑者はどのように払戻請求書を入手していた?
「吉田容疑者は“手続きに必要な書類である”とお客様に虚偽の説明をして、本来は必要のない払戻請求書を不正に入手していました」
2年間にわたって社内調査が続けられている
――吉田容疑者は、事務員に「お客様に現金をお届けする」と言って、不正に入手した払戻請求書を利用してお金を引き出していた?
「その通りです。現金をお届けするサービスは、運用ルールをより厳しく致しました」
――独り身の高齢者が主な被害者だったのか?
「被害に遭われたお客様の詳細は、お答えを差し控えさせていただきます。ただ、信託銀行という業務の特性から、高齢のお客様とのお取引が多いのは事実です。即座に不正を見抜けなかったことは我々も深く反省し、再発防止策を強化しております」
とのことだが、その再発防止策には、こんな記載が。
《特に配慮が必要なご高齢のお客さまには、お取引内容の定期確認のご案内と合わせ、アフターフォローを担う専担チームを新設します》
2度と同じような不正を許さない監視体制の構築を求めたいところだが、2021年より始まった社内調査はいまだに続いているという。前出の女性職員が話す。
「職員ひとりひとりに確認をしているため時間がかかっています。今、銀行の窓口に立っているのは潔白が証明された職員だけ。私も調査を受けましたが、本当につらかったです。数年前のことを出され“ここで何をしていた”と聞かれるのですが、覚えてなくて……。吉田容疑者と一緒に、お客様宅を訪問したことのあった職員はまっさきに疑われ、そうとう詰められたと聞いています。まるで犯罪者のような扱いの取り調べに嫌気がさして、職員たちは次々と辞めています」
信託銀行は信じて託すと書くけれど、すべてを他人任せにするのは危険だ。あなたの資産は大丈夫か――。