押し切られ関係が始まるも別の女性と突然の結婚
「当時、私は夫との裁判の最中で、その事情も伝えたけれど、サトシは気にせず『どうしても付き合ってほしい』と言い募ります。
サトシの熱意にほだされ、結局彼と付き合うことになりました。
サトシは堺正章さん似の男性で、特別イケメンというわけではないものの、どこか憎めない人でした。高級シャンパンや何百本というバラの花束、ブランド物のバッグなど次々プレゼントが届きます。私がそれまで足を踏み入れたこともないような高級旅館にも連れて行ってくれました。
私にとっては経験したことのないものばかりで、贅沢で華やかでキラキラしていた。サトシにとってはいつもの手口だったのかもしれません。そのときはまだサトシという男のことがまったくわかっていませんでした」
サトシからの突然の告白で、男の本性を知る。すべてが虚飾とウソとごまかしで塗り固められていた。
「付き合い出して2か月ほどたったときのことでした。サトシが突然『実は今週結婚式があるんだ』と言い出した。『誰の?』と聞くと、『オレの』とサトシ。まったく意味がわかりません。
サトシは、『相手の女性に子どもができてしまい、別れてくれない。しょうがなく結婚するんだ。でも本当は君のことが好きだから』
と、しれっと言葉を重ねます。私はもう呆れ果て、問い詰める気力もありませんでした。彼に強引に押し切られる形で始まった関係でした。付き合ってまだ日も浅く、今なら取り返しがつくというものです。『もう来ないで!』と、彼に別れの言葉を突きつけました。
でもそこで諦めるような男ではなかった。自分自身の結婚式の後、私が歌う店にやってきた。何を考えているのか、蝶ネクタイ姿です。彼に『帰れ!』と平手打ちして、その場で店から追い出しています。
しかしサトシとの関係は断ち切れず、腐れ縁となり、その後10年間続きます。彼の妻にはきっとバレていたと思います」(次回に続く)
<取材・文/小野寺悦子>