これらの症状は、血管が詰まりかけても辛うじて流れて難を逃れているだけ。もし完全に詰まれば、突然死を招く心筋梗塞・脳梗塞を発症してしまうのだ。

「すぐ」水を飲むのが重要

 こうした要素に当てはまったり、もしなにか前兆に思い当たったら、危険が迫っていると自覚し、すぐにでも対策を始めたいところ。では夏の突然死を予防するためには、どうすればいいのだろうか?

まずできるのは、脱水を防ぐこと。すぐに水を飲む。そして、もし身体に異変を感じたときは何をおいてもいったん休息。そして病院に行くことです

 水分といってもさまざまだが、秋津先生は水道水でも構わないので「すぐ」がポイントだという。さらに贅沢をいえば甘くないイオン飲料がいい。

 汗と共に失われたミネラルやカリウムといった電解質を配合したイオン飲料は、体液に近い状態に調整されているために、飲料水よりも体内に吸収されやすいというメリットがある。さらに、水のとりすぎが原因で頭痛や吐き気を生じさせる低ナトリウム血症も防いでくれる優れものなのだ。

 胸の痛みや手のしびれなど、ほんのちょっとでもおかしいと感じるようなら、水分だけでは不十分で、いったん休むことがポイント。死に直結する心筋梗塞や脳梗塞を起こす直前にまで進んでいる可能性のある状態から、引き戻してくれることもある。

 もちろん、日頃から突然死などとは無縁の生活が送れればそれに越したことはない。そもそも予防は最良の防衛策なのだ。食生活に気を配ったり、定期的に人間ドックに行って生活習慣が身体に悪影響を与えていないかを確認したり……。

 ただでさえ亜熱帯並みといわれる日本の夏。暑さで汗ばむだけでも耐えがたいのに、突然の苦しさに襲われかねない不調の種など、できるだけ早いうちに摘み取ってしまいたい。

取材・文/オフィス三銃士

秋津壽男先生 内科医。秋津医院院長として町の患者に寄り添う傍ら、テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』に初回からレギュラー出演。『長生きするのはどっち?』(あさ出版)、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)など著書も多数。