洗っても落ちない!血液由来の体臭

 とはいえ、体臭のほとんどは市販されている殺菌作用のあるシャンプーやボディソープを使ったり、こまめに汗を拭いたりすることで対策ができる。

「ただ、体臭のなかには、洗ってもニオイが落とせない“疲労臭”というやっかいなものがあります。その名のとおり、疲れがたまったり、精神的なストレスが蓄積したりすることで発生します」

 疲労臭は鼻につくようなツーンとした刺激臭。なぜ、身体からこんなニオイがしてしまうのか。

疲労臭の原因であるアンモニアは、タンパク質が腸で分解されるときに作られます。健康な人であれば、腸で作り出されたアンモニアは、その後、肝臓で分解されて無毒化・無臭化されますが、疲労やストレスによって肝機能が低下していると、アンモニアが分解されずに血液から汗の中に排出され、『皮膚ガス』として全身から放散されるのです」

 皮膚ガスとは、体臭のもとになるガスのこと。生きていれば誰でも発するもので、現状わかっているだけでもおよそ300種類もあるという。

 疲労臭はほかの体臭とは違い、血液からニオイ成分が放散されているため、部分的ではなく、全身からにおうのも特徴。洗ったり、拭いたりといった表面的な対策だけではニオイを防ぐことは不可能だ。

 では、疲労臭に効果的な対策法とは?

疲労臭の発生メカニズムには、大腸が深く関わっています。なので、身体の内側からの対策が必要です」

 関根さんは、大腸内のビフィズス菌と疲労臭との関係を調べる実験を実施。

「ビフィズス菌が作り出す短鎖脂肪酸という物質に、疲労臭の原因であるアンモニアを腸内で中和する作用があるとわかりました。短鎖脂肪酸とは、大腸内にいるビフィズス菌などの善玉菌が、オリゴ糖や水溶性の食物繊維を食べたときに作り出す代謝物です。

 大腸内を弱酸性に保ち、アンモニアを産生する腸内細菌(悪玉菌)の働きを抑制すると考えられます。疲労臭対策として腸内環境も日頃からケアをすると良いでしょう」