がん団信に加入すればがん保険は不要?
銀行などで住宅ローンを組む際、ほとんどの人は団体信用生命保険(以下、団信)に加入する。団信は契約者が亡くなったときに住宅ローンの残債を死亡保険金で完済できるものだ。
契約者の死亡時のほか、がんなど大病の罹患時に同様にローン残債をゼロにできる“がん団信”もある。がん団信に入っていたら、保障内容がダブるがん保険は不要なのでは?
「がん保険の診断一時金の多くは上限300万円なのに対し、がん団信の保険金は数千万円規模と大きいこともあり、不要と考えるのは一面では正解です。
ただし住宅ローンを組む場合、大抵の人は退職(60歳または65歳)までに完済を目指すということを見落とさないで。がん団信で守られるのはローン返済中で、完済したら保障は終わる。
一方でがんのリスクは60歳以降高まっていくからです。セカンドライフにおいてがんの保障を望むのであれば、加入するがん保険を継続するかローン完済前に見直しを行うべきですね」
そもそもがん保険は必要なのか? 健康保険などでカバーできないのか?
「貯蓄にゆとりがあるのなら、がん保険は必ずしも必要ないでしょう。がんの治療の大部分は健康保険の3割負担や高額療養費制度を利用できるため、貯蓄で賄うのが基本です。とはいえ、手術後のリハビリや投薬などが長期にわたると、そうはいきません。
仕事に影響を及ぼし、収入減のリスクも伴うのです。がん罹患後も長く生きる人が増えているいま、治療の長期化に保険で備える必要性は高まっていると思います」
教えてくれたのは……竹下さくらさん●慶応義塾大学にて保険学を専攻。損害保険会社、生命保険会社勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。ライフプランに基づく個人コンサルティングを主軸に講演、執筆を行う。著書多数。
(取材・文/百瀬康司)