怖いのは合併症!半身まひ、意識障害も
発疹の症状には特徴があり、身体の片側だけに発疹が出る。つまり、身体の左右両方に出たら、違う病気の可能性がある。
「検査を行い、陽性の場合は、抗ウイルス剤や痛み止めを処方します。抗ウイルス剤の効果があるのは早期の場合だけなので、早めの処置が大切です」
今年初めには、タレントの益若つばささんも「激しい頭痛と目が痛いのとおでこの水ぶくれでしばらくダウン」と重度の帯状疱疹で療養していたことを公表。
《目の近くだったからちゃんと治さないと失明する可能性あるんだって。そんな怖い病気だったの!?気づいたらすぐ治さないと後遺症が酷いらしい》と、想像よりも危険な病気だと自覚したとのメッセージを投稿。
松尾先生によると、ウイルスが目まで広がると角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎といった病気を合併し、視力低下や失明に至ることもあるという。さらに、軽い髄膜炎を起こすこともよくあり、頭痛などの症状も。
「発症の場所によっては、本当に怖い合併症を起こす可能性があります。顔に帯状疱疹が出ると、ラムゼイ・ハント症候群という顔面神経まひ、難聴、めまい、耳鳴りといった合併症を伴うことがあります。
困ったことに、3分の1は発疹より先にまひが出ることもあり、正しい診断がつかないことで症状が長引いてしまうこともあるのです」
より怖いのは、脳にウイルスが侵入した場合。
「脳炎を発症すると、発熱、幻覚、意識障害、人格障害を起こすことも。また、脳の血管にウイルスが侵入し肉芽種ができると、脳梗塞と同じように片まひが起こることがあります」
たかが発疹、と放置しておくと、今後の人生を左右する大変なことになりかねない。
合併症のほかに、後遺症の苦痛にも悩まされる。
「帯状疱疹後神経痛(PHN)です。ハイヒール・モモコさんも現在もその症状に悩まされているそうですが、帯状疱疹後、3か月痛みが続く人が15~20%、6か月は5%、1年以上続く人が1%います。焼けつくような痛み、電気が走るような痛み、皮膚に触れると痛むといった3つの痛みが特徴です」
PHNになりやすい人は?
「発疹が重症だった人、60歳以上は発症率が高くなります」
治療法は、いわゆる消炎鎮痛薬の内服は効果がなく、抗てんかん薬、抗うつ薬といった鎮痛補助薬やオピオイドなどの内服が主体となるようだ。
「女性の場合は更年期など、他の疾病による心因性の痛みで、長引いていることも」
長いと10年以上も続く痛み。とにかく帯状疱疹にかからないことが重要だ。