7月31日、市川猿之助被告が勾留先の原宿署から保釈。5月18日の早朝に発覚した一家心中事件以来、初めて公の場に姿を見せた。
「猿之助さんは両親に対する自殺幇助の罪で起訴されて裁判を待つ身。保釈金の500万円を納付して身柄が解放されましたが、まだ精神的に不安定なため、今は24時間体制の病院にいるようです。澤瀉屋のリーダー的存在として歌舞伎と現代劇で活躍していた彼がこんなことになるとは、誰も想像しなかったでしょうね」(スポーツ紙記者)
猿之助は保釈時、集まった報道陣の前で深々と一礼。一瞬、天を仰ぎ、原宿署にも一礼すると迎えの車に乗り込んで去っていった。
「歌舞伎では、上のほうを見上げる演出があるのですが、保釈されたときの猿之助さんの動作が、まさにそれと同じに見えました。彼は5歳から舞台に出ていますから、所作が身体に染みついているのでしょう」(澤瀉屋関係者、以下同)
「澤瀉屋には猿之助さんが必要」
歌舞伎しぐさが抜けない猿之助とは対照的に、市川中車こと香川照之は芸の体得に苦労しているようだ。
「猿之助さんが主演を務める予定だった『七月大歌舞伎』の『菊宴月白浪』という演目で、香川さんは代役として千穐楽まで演じ切りました。この演目は江戸時代に途絶えるも、香川さんの実父で三代目・猿之助だった市川猿翁さんが復活させた澤瀉屋ゆかりのもの。香川さんにとっても大事な舞台でしたが、彼の演技はどこかぎこちなく、客入りもまばらな日もあって、いまひとつの評判でしたね」
幼いころから猿翁と断絶状態だった香川は、息子の市川團子を歌舞伎役者にしたいという気持ちが芽生え、46歳で息子と一緒に梨園入り。歌舞伎役者としてのキャリアは11年ほどで、主演を張るにはまだ早いという声も聞かれる。
「歌舞伎の芸は、長い年月をかけて培われるもの。今は猿之助さんの代役として同情と関心を呼んでいますが、洗練されていない興行を続けていれば、ご贔屓からそっぽを向かれてしまい、澤瀉屋に未来はない。香川さん自身も“自分では澤瀉屋のリーダーは務まらない”“澤瀉屋には猿之助さんが必要”という結論に至ったようです」
香川は『七月大歌舞伎』を終えて心新たにしたようだが、猿之助は両親の死に関与した疑いでこれから裁判を受ける身。今後の展開によっては実刑の可能性もある。
「香川さんの夢は息子を“五代目猿之助”にすること。そのために、これまで培った現代劇のキャリアを犠牲にして歌舞伎の世界に身を移したのに、澤瀉屋がなくなってしまえば全部、無意味になってしまいます。
これから香川さんは、歌舞伎関係者に、猿之助さん復帰の理解を得るため、頭を下げて回るようです」
かつてTBS系ドラマ『半沢直樹』の“土下座芸”で拍手喝采を浴びた香川が、再び土下座を披露して─。