女性から正論で言い負かされて
ふみかさん(47歳、仮名)は、とても几帳面な性格です。大学で地方から上京し、そこからずっと一人暮らし。学生時代、学費は親に出してもらっていましたが、生活費はバイトで稼ぎ、卒業後、今の会社に入ってからは自活していました。
お給料は平均的ですが、食事は自炊し無駄遣いもしない性格なので、毎月少なからず貯金もできました。
入会面談のときにこんなことを言っていました。
「いい人がいたら結婚しようと思っていたのですが、出会いもないままに、この年になってしまいました。出産は難しい年齢ですが、一緒に歳をとっていくパートナーは欲しいと思うようになりました」
そしてはじめた婚活だったのですが、なかなかいいお相手に巡り会えずにいました。そんな中で、やっと気持ちを許せるお相手、よしかずさん(50歳、仮名)と出会ったのです。よしかずさんから、「真剣交際に入りませんか?」という打診をいただき、それを受けることにしました。
ところが、その段階になってプロフィールに記されていたよしかずさん年収が昨年のもので、転職した今年は300万円も年収が下がることがわかったのです。
ふみかさんは、私に言いました。
「300万円も違うなら、もっと早く知らせてほしかったです。不信感でしかありません」
そこで、私は言いました。
「もし真剣交際に入るなら、今のお気持ちを正直にお話しした方がいいですね」
それから1週間後、「週末に、よしかずさんとお会いしてきました」という連絡が入りました。ふみかさんは、言いました。
「お給料のこと、預金のこと、親から受け継ぐ資産のことなど、とても正直にお話をしてくださいました。彼にばかり聞くのは失礼だと思ったので、私のお金周りのことも正直にお話しました。不信感も解消したので、交際を前に進めて真剣交際に入ろうと思います」
私も胸を撫で下ろし、その連絡をよしかずさんの相談室にご連絡しようと思っていたところ、よしかずさんの相談室から、「交際終了にしたい」という連絡が入ってきました。
びっくりして、理由を尋ねると、よしかずさんの仲人さんは言いました。
「一昨日の話し合いで、事細かにお金のことを聞かれたようです。年収が違うことにも言及されて、なんだか自分が責められているような気持ちになってしまった、と。もし今後一緒に生活をしたとしても、自分がうっかりやらかした間違いや失敗を詰問されたら苦しいと思ったようです」
女性は、男性の間違いを正論で言い負かしがちです。男性は自分が悪いとわかっていても、理屈では女性にかなわないので、そこから逃げていく。これが何年も付き合っている恋人同士や夫婦だったら、追い詰められた男性が逆ギレして、大喧嘩になったりする。
ところが、日の浅い婚活カップルだった場合、男性は“交際終了”という形で女性から逃げていくのではないでしょうか。