湿疹?かぶれ?実は乳首のがん

 衣服のこすれ、湿疹、かぶれなどでも、乳首や乳輪に痛みを感じることがある。

「皮がむける、かゆみがあるなど湿疹やかぶれのような症状だと、皮膚科を受診する方が多いようですが、注意が必要。『パジェット病』という乳頭、乳輪に限った乳がんの可能性があるからです。

 皮膚科で湿疹と診断され、ステロイド軟膏を塗り続けても治らず、乳腺クリニックを訪れる患者さんの中にパジェット病は少なくありません」

 痛みやかゆみのほか、乳首や乳輪の皮膚がただれて出血したり、かさぶたになっている場合は特に、パジェット病を疑って組織を採取して検査を行うそうだ。

 パジェット病の場合、乳頭と乳輪にとどまるがんのため、転移の心配は少ないという。また、乳房の痛みかと思ったら、循環器系の病気だったというケースもある。

「狭心症や心筋梗塞、不整脈で、胸が痛むことがあります」

 循環器系の病気は、命の危険もあるので、放置は禁物だ。

夢野かつきさんの体験談:乳房に針で刺したような痛み翌月に乳がんが発覚!
 8年前、右胸の乳首の先っぽを針でチクチク刺されるような痛みを感じました。しかも、外からではなく、内側から……。

 普段では感じることのない痛みに不安を抱き、乳房を触ってみたところ奥のほうに2cm程度のしこりがありました。マンモグラフィ検査ができる病院へ行ったところ、がんが疑われ、後日、大学病院で精密検査を行って、ステージ2Bの浸潤性乳がんと判明。

 日頃元気で風邪もひかず、痛み以外の症状は何もなかったので、まさか自分が乳がんと診断されるとは思っていませんでした。抗がん剤治療、全摘手術を行い、治療は完了。現在は乳房の再建手術を終えて、やっと日常を取り戻しました。

夢野かつきさん●漫画家、著書『乳癌日記』(廣済堂)で乳がん体験をコミックエッセイに。
夢野かつきさん●漫画家、著書『乳癌日記』(廣済堂)で乳がん体験をコミックエッセイに。
【写真】乳房に痛みが出たときに参考にしてほしい行動マップ
夢野かつきさん●漫画家、著書乳癌日記(廣済堂)で乳がん体験をコミックエッセイに。