ファンのグッズ販売にパトカー出動
韓国で行われるアイドルの公演で、欠かせないのがファンによる自主制作グッズの無料配布。推しメンバーのPRを目的としたもので、紙製の応援スローガン、ステッカー、うちわ、ポストカード、キーホルダーなど、その種類は多種多様。ZB1の公演会場でも、韓国と中国のファンによる無料配布があちこちで繰り広げられ、賑わいを見せていた。
多くが推しのキメ写真やイラストを配置したグッズだったが、どこでどう入手したのかメンバーの幼少期の写真を用いたものも。肖像権なんぞガン無視状態だが、自腹を切ってグッズを好きなように作り、「〇〇(メンバー名)を応援してください」とつぶやきながら配布をする姿は微笑ましいものがあった。
ドーム前の一般道でさらに大々的に展開されていたのが、自主制作グッズの有料販売。こちらの販売者は「マスター」と呼ばれる人々。アイドルを追っかけては写真や動画撮影を行い、SNSなどで発信するファンの総称だ。
マスターはコンサートといった撮影禁止の場所にも忍びのごとくカメラを持ち込み、時に公式写真より魅力的な写真を撮ることもしばしば。そのため一部ファンの尊敬の対象となっており、多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーとしての側面も持つ。
自身撮影の写真を用いた応援グッズの販売は、大切な活動資金となるため、どのマスターも見るからに気合十分。色とりどりのスローガンがずらりと並べられた歩道は、まるで出店が並ぶ縁日のような賑わいだ。しかし、ファンが殺到したため歩道はあっという間にすし詰め状態に。近隣住民と思われる韓国人が「うるさい!」「何だこれは」と不快を露わにしながら歩行しようとするが、ファンの圧に押されて立往生していた。
と、しばらくすると聞こえてきたのがパトカーのサイレン。この乱痴気騒ぎはさすがに通報されたようで、警察官がスマートフォンで動画を撮りながら「すぐ片付けなさい!」とマスターたちに撤去を命じていた。
しかし、そこは公演会場の警備員らとやり合うこともある百戦錬磨のマスターたち。ダルそうな表情を浮かべながら片づける様子だけ見せ、警察官が立ち去ると再びグッズを並べたり、場所を移動したりして販売を続けていた。実にタフだ。