植物性よりも動物性タンパク質を
タンパク質をとるため、肉・魚を食べる量の理想は、目安量として1食150g。厚生労働省による「国民健康・栄養調査」(令和元年)では、日本人が食べている1日の肉の摂取量が平均103gなので、1食150g×3食で450gとなると、ふだんからクリアできている人は少ないだろう。
でも、この数字にもとらわれすぎてはいけないと金津さん。
「人によって体格も小腸で消化吸収できる量も異なるので、必ずしも1食150gがベストとは言いきれません。胃もたれなどの不快症状を起こさないよう、毎食少しずつ量を増やし、“気づけば、無理なく毎食150gほど食べられるようになった”くらいが正しい“タン活”のゴールです」
タンパク質の摂取源は、良質な脂質やビタミンが豊富な動物性をメインに。豆腐や納豆など植物性は栄養面で物足りないので、カロリーが低いからと主菜にしてはダメ。
「お肉の脂は敬遠されがちですが、そこに含まれる飽和脂肪酸は酸化しにくいので、良質なエネルギー源となりますし、タンパク質が体内でしっかり働く助けをします。また、ビタミンDやビタミンAなど脂溶性ビタミンは、お肉の脂質を一緒にとることで身体に吸収されやすくなるので、良質な脂をしっかりとって」
また、野菜を先に食べてしまうと、満腹感でタンパク質の量がとりづらくなるので、食事の最初に肉を食べること。
「年齢を重ねて食が細くなっても、肉や魚、大豆製品などタンパク質を優先してほしいです。“年を取ったら胃もたれする”というのは幻想で、しっかりと小腸で消化吸収できる量なら、何歳になっても肉料理をおいしく食べることができます。焦らず摂取量を増やし、心身とも健康に年齢を重ねていきましょう!」
こんなタンパク質のとり方はNG!
・サラダチキンや豆腐だけなど単品だけ食べる
・胃もたれしない量に抑える
・カロリー計算して決まった量を食べる
・足りない時はプロテインで補う
・低脂肪を心がけている
こんな人はタンパク質不足かも!
・お酒を飲んだあとむくみが取れない
・無性に甘いものが食べたくなる
・眠りが浅く夜中に目が覚める
・更年期症状やPMSが重い
・姿勢が悪く顔の輪郭がたるんでいる
・たくさん食べても力が出ず疲れやすい
教えてくれたのは…金津里佳さん
「ルネスクリニック東京」管理栄養士。“人の身体はみな同じではない”と意識し、納得できる論拠に基づいた栄養指導を行う。著書に『9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方』(青春出版社)。
取材・文/河端直子