取材を進める中で、16年に殺人未遂で逮捕されたときの裁判資料を関係者を通じて入手。そこには、身の毛もよだつような容疑者の悪行が記されていた……。
事件は16年11月、石川県内のパチンコ店で発生。中村容疑者は当時19歳の女性アルバイトを包丁で刺したとして、殺人容疑で逮捕された。
馬乗りになって約40秒間、上半身を10回以上包丁で刺す
裁判資料をもとに、当時の容疑者の行動を振り返る。
・16年8月 パチンコ店に度々訪れ、女性休憩室に押しかけて、被害女性に対して「ひと目惚れした」などと伝え、食事に誘う。
・同年10月上旬 パチンコ店裏にあるゴミ捨て場で女性を待ち伏せ、デートに誘う。女性が「店から客と個人的な付き合いをしないよう言われている」と伝えると、「店に俺のこと言ったのか」と逆ギレ。
・同年10月下旬 「俺のこと避けてるやろ」と難癖をつける。
・同年11月10日(犯行当日)午前9時半ごろ 長さ15センチの出刃包丁をリュックに入れ、帽子やサングラスで変装してパチンコ店に行く。防犯カメラにうつらないようフェンスを乗り越えてゴミ捨て場に侵入し、女性を待ち伏せる。
女性が入ってきた瞬間、体当たりして転倒させ、馬乗りになって約40秒間、上半身を10回以上包丁で刺す。その間、中村容疑者は終始無言で、女性は大声を出しながら必死に抵抗して身体を捻り、急所を避けたが左腕などに重症を負った。そして一瞬の隙を見て逃げ出す。
犯行後、容疑者は自転車で逃走。途中で血のついた衣服や手袋を神社に捨て、証拠隠滅を図る。
・同日正午過ぎ 身を隠すためラブホテルへ向かう。
・同日午後9時過ぎ ホテル代金を払わずに立ち去ろうとしたので、従業員に取り押さえられ、現行犯逮捕された。なお、容疑者は窃盗罪による執行猶予中だった。
犯行時の出来事について容疑者は公判で「記憶にない」と主張し、動機もわからずじまい。さらには「心神耗弱だったので責任能力は低い」「女性に10万円の見舞金を支払った」などとして、情状酌量を要求した。
一方で被害女性は、
「傷跡を気にして半袖の服を着ることができなくなり、トラウマで平穏な日常生活を失った。できるだけ重い罪でお願いします」と涙ながらに訴えた。
検察官の求刑は殺人未遂罪による、懲役13年。しかし……。