“テレビ離れ”から呼び戻すキーマンは、いつも堺雅人
第10位は、『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)となり、ベスト10中、3作品が堺雅人主演という結果に。彼がいかにテレビ業界を盛り上げているのか、“凄さ”をうかがうことができる。
「弁護士ものの『リーガル・ハイ』では、“立て板に水”の軽快すぎるトーク力を持つ、おかしな天才弁護士を演じており、そこから一転して、4位に入った金融ものの『半沢直樹』では、憎悪にまみれる銀行員を演じました。悪役に裏切られ抑圧されて、耐えぬいた上に“倍返しだ!”と、土下座をさせるという、まさに勧善懲悪。“このドラマはこういう流れです”というわかりやすいカタルシスに加えて、視聴者の心に爪痕を残す癖のある堺さんの演技が組み合わさったことで、強い印象を与えたのではないでしょうか」
『VIVANT』を見て、地上波ドラマの面白さに改めて気づいた方も多いはず。
“テレビ離れ”をした視聴者を呼び戻すキーマンになるのは、いつも堺雅人だ。
「『半沢直樹』が放送されたころは日曜劇場ブランドも弱くなっていましたが、『半沢直樹』の視聴率は、すごかった。今のテレビ業界は、堺さんに支えられているといっても過言ではありません」
地上波のドラマ界隈では続編ブームが到来し、『義母と娘のブルース』(TBS系)や『GTO』(関西テレビ系)、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)など、次々と続編の制作が決定している。
「続編は少し難しい部分があって、ファンの“この2人の絡みが好き”という気持ちを無視して、キャストを変えたリメイクをしてしまうと、残念な続編になってしまう場合もあります。ただ、基本的には好きな作品の続きが見られるのは楽しみですよね。ファンにとっては、もちろんうれしい続編ですが、実は制作側も安心なんです。前作を例に、どれくらい人気があるかをある程度推測することができるし、既存ファンが、最低でも初回は見てくれる。だから大失敗することが考えにくいんですね」
ファンにも俳優にもスタッフにもうれしいとは、続編効果は“倍”どころじゃない!
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)などがある