小遣い稼ぎの女盗撮師に注意

 盗撮被害に遭わないためには、巧妙になる手口を知り、普段から周囲に注意を払う必要がある。

「ぜひ知っておいていただきたいのが、女盗撮師の存在です。盗撮発生場所の3割を占めるのが浴室、更衣室、トイレなど衣類を脱ぐ場所ですが、この中にはお小遣い稼ぎが目的で女性が女性を盗撮しているケースが数多くあります。

 “脱衣かごの網目の隙間に1ミリサイズの小型カメラを設置。その上にバスタオルや衣類を置いてカメラを隠す”“洗面器でカメラを隠して、銭湯にいる裸の女性を写す”など手口はさまざまあるので、不審な動きをしている女性を見つけたら、すぐに服を着て外に出たり、こっそり従業員を呼びに行ったりするといいでしょう。

 ある程度、確信が持てる場合は『何をしているんですか?』と声をかけるのもひとつの手段です」

 トイレも狙われやすい場所。多いのがサニタリーボックスやトイレットペーパー、貯水タンク、ゴミを装った紙コップなどに小型カメラを隠す手口。

 この場合、レンズが光って見えたり、細いコードがつながっていたりするので、違和感があれば、確認して被害を未然に防ぎたい。

「トイレで用を足しているときにカメラを差し込まれる事例も頻発しています。私の近所のスーパーでも従業員の女性がトイレに入ったところ、扉の上からカメラを差し込まれた事件がありました。

 気づいてすぐ扉を開けたら逃走する女性の後ろ姿が見えたとのことで、女盗撮師による犯行と考えられます」

 このケースは扉の外から犯行に及んでいるが、その場合、トイレに入ってきた人に目撃されやすくなる。そこで隣のトイレに潜み、仕切り越しにカメラを差し込むケースも多いという。

「この手口は、扉や隣の個室との仕切りの上下に隙間があるからこそ成立します。近年は上下ともに壁があり完全個室になるトイレが増えているので、可能な限り、そういうトイレを利用するといいでしょう」

 エスカレーターや階段の下段からスカート内を盗撮するのもよくある手口。エスカレーターは前向きではなく横向きに乗るだけで、気づかれるかも、というプレッシャーを盗撮師に与えることができる。

増加する盗撮に係る検挙件数
増加する盗撮に係る検挙件数

 靴や傘に隠しカメラを仕込む手口もあるので、これらを女性の足元に近づけるなど不審な動きをしている人物には注意が必要だ。万が一、盗撮被害に遭ったら、警察に届け出ることも大切。被害者がいることで犯人が不起訴処分となるのを防げる。

「誰でも簡単に盗撮ができる時代となってしまいましたが、逮捕されれば刑罰を科されるだけでなく、会社をクビになるなどの社会的制裁を受け、家族など周囲の人も傷つけてしまいます。

 盗撮は被害者のみならず、犯人自身の人生も狂わせる重大犯罪であることを社会全体の共通認識としなければなりません」

取材・文/中西美紀