しかし今後、このような条例が通ったら、ゴミ捨ての間に子どもを家に残しただけで処罰を受けることもあるのだろうか。
18歳以下の入れ墨は罰則付き
「それはないです。ほとんどの条例に罰則はありません。推奨あるいは努力義務です。罰則がある少数派の条例が、迷惑防止条例。そして青少年保護育成条例です。
例えば岩手県では保護者同伴でも16歳未満の子どもが18時以降にゲームセンター等にいるのは禁止ですが、東京都では保護者同伴なら22時まで滞在できる。
愛知県の同条例には、18歳未満の子どもに入れ墨を入れることを罰則付きで禁じる項目がある。何を青少年保護というかは、地方自治体によってまちまちです」(長嶺さん、以下同)
“子どもに入れ墨”とは驚くが、さておき今回の埼玉県『虐待禁止条例』の一部改正案には罰則はない。
「といっても通報義務は設けられました。誰かに“あの家は子どもを家に1人で残していた”などと言われたら心証が悪い。
タバコのポイ捨てなどは、係員からの口頭注意で済む場合もありますが、『過料』といって、違反をしたら少額のお金を納めることも。自治体には取り締まりのためにコストがかかる。
子どもの留守番や車内での放置を見回ってまで禁止する必要性があるのか、ということです。今回は“必要性がない”という結論で廃案に至った。しかし、罰則がなくても社会的な有形無形の非難を感じ、過剰な自粛が生まれる可能性も」
ただでさえ大変な子育て世帯に、近所から監視・通報されるプレッシャーが付け加わるわけだ。