支えになったのが自身のきょうだいの存在だ。4人きょうだいの長女として育ち、子どものころから弟たちの面倒を当たり前のようにみてきた。大人になった今もきょうだいの絆は強い。
「3人も弟がいれば誰かしら助けてくれるだろうというちょっとした安心感はありました。弟も“大丈夫だよ”と声をかけてくれていて。実際弟が大学生のとき、夏休みに1か月間住み込みのバイトを頼んだりしていました(笑)」
忙しすぎて、落ち込む暇もない
下は小学1年から上は大学1年まで、5人の子どもたちは育ち盛りの食べ盛り。朝は5時起きで弁当を作り、子どもたちを学校へ送り出す。
「炊くご飯は1日に1升。朝炊いても夕方になるとすっかりなくなっていて、また夜炊き直します。牛乳は週に10本、ゆで卵は1度にワンパック10個全部使い切って、おやつ代わりに冷蔵庫に入れておくと、1日でなくなってしまって。
洗濯は1回11キロ分を毎日2、3度回します。みんなシャワーを浴びるタイミングも違うし、洗濯かごが空になる瞬間というのがないんです(笑)」
助産師の仕事は時に昼も夜もなく、家に帰れば大家族の家事が待ち受ける。気力や体力が尽きることはないのか聞くと、
「もう忙しすぎて、落ち込む暇もない感じです(笑)」
と頼もしい。パワフルに人生を謳歌し、それを子どもたちに見てもらえたら、と話す。
「私自身、一人の大人として、自分の人生を楽しんでいる姿を見せておきたい。親だからこれを伝えなきゃというよりも、一人のロールモデルとして、大人になるって楽しいんだということが伝わればいいなという気持ちが一番にあります。
“5人も子どもがいて大変だけど、でもなんか楽しそうだったよね”と子どもたちが将来思ってくれたらいいなと思っていて……」
助産師になって2年目で、キャリアは始まったばかり。
「今の目標は一人前の助産師になること」と語り、仕事のやりがいを口にする。
「お産に携わると、すごく勉強になるし、自分の成長にもなる。子どもを産むのは怖い、育てるのは大変そうだとよくいわれますよね。確かに大変なことも多いけど、それ以上に楽しいこともたくさんあるということを知ってもらえたらと思っていて。
私も2年目にはなったけど、まだいろいろ学ばせてもらっているところ。まずは一人前の助産師になれるよう、日々知識と経験を重ねていけたらと思っています」
取材・文/小野寺悦子