2023年も11月に入り、今年も残るところあとわずかとなった。こと芸能ニュースにおいて、今のところ最も世間を騒がせた月は「10月」だったといえるだろう。それはもちろん業界を激震させた“ジャニーズ事務所の性加害問題”にほかならない。10月2日の2度目の会見以降もジャニーズ関連ワードがトレンドを独占するなど連日、この問題で芸能ニュースが占められていた。
芸能界の力学を根底から覆しかねない話題のウラで、忘れ去られた芸能ニュースの存在──。芸能ジャーナリスト・佐々木博之さんに「10月の芸能ニュース」を掘り下げてもらった。
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横山だいすけ、楽しんご、へずまりゅうも鎮火
「今回のジャニーズ問題はあまりにも根深く大きいので、ちょっとした芸能ニュースが出ても一切話題になりません」(佐々木さん、以下同)
会見前日の10月1日にSNS上で今年5月に離婚していたことを報告したアナウンサーの宇賀なつみなどは、それを計算した可能性も?
「あるかもしれませんね。自主的な発表や報告でなくとも、今は“あまり注目されたくない内容を報道された芸能人たち”にとってもラッキーな時期でしょう」
ここ半月ほどの小ネタ芸能ニュースでいえば、NHK・Eテレ『おかあさんといっしょ』の元“うたのおにいさん”横山だいすけがTikTokで小児性愛がテーマの楽曲でダンスを披露した問題。SNSで浜崎あゆみに対して「ブス」と暴言を吐いた楽しんごの号泣謝罪。DJ社長が大借金を告白したクラファン騒動や、元迷惑系YouTuberへずまりゅうが下校中の人気中学生グループYouTuber『ちょんまげ小僧』に突撃した件……。どれもネット上で小さく批判され、鎮火した。
また、大きめのニュースでいえば2度目の会見直前の9月27日、不倫報道から妻・MEGUMIとの離婚に向けた話し合いを発表した降谷建志の話題などもすっかりかすんでしまっている。
「今年、あんなに騒がれ、叩かれた広末涼子の不倫・離婚でさえも、もし今のタイミングだったら、あそこまでずるずると報じられることはなかったでしょう。そもそもジャニー喜多川社長の性加害問題は本来、警察が介入すべき案件ですし……」
もはや芸能ニュースの範疇には収まらない、と佐々木さん。
「警察が介入したケースでいうとガーシー被告の保釈や、もっとショッキングだった市川猿之助の事件では彼が保釈された後、追跡しているメディアは少ない。伯父に当たる猿翁さんが9月に急逝し、10月20日に初公判を控えているにもかかわらず、ほぼ何の情報も聞こえてこない。事件や不祥事を起こした芸能人たちは今、メディアがジャニーズ一色なので、ひと息つけているかもしれませんね」
だが、『ジャニーズ事件』の陰でほくそ笑んでいるのは芸能人だけではない。
「殺人事件の捜査介入疑惑が報じられた木原誠二元内閣官房副長官も追及を逃れていますし、10月1日からスタートしたインボイス制度についても、これだけ反対の声が上がっているのに、ちょっとしか報道されず、政府の思惑通り進んでいます。たしかに日本の芸能史に残る大事件であることは間違いないが、その裏で社会の行く末が左右されるような出来事も起きているのを忘れてはいけません」
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> 宮城県仙台市出身。『FRIDAY』で取材活動をスタート、記者歴37年のなかで数々のスクープを手がける。現在はテレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中