この“肝入り”政策に与党に近い政治ジャーナリストは首を傾げる。
「その名の通りに住民税を免除されている世代を指しますが、内訳にすると税金を多く収めている働き盛りの30代から50代は1割、20代が2割、そして7割以上が60代から80代の高齢者(厚労省:国民生活基礎調査の統計)となります。そして、この高齢世代こそが各選挙において投票率が最も高く、岸田政権を支持する、なんら不満を感じていない世代とも言われているのです。
“選挙に行かない世代”を優遇する政策を掲げても、自分たちの得票にはつながらないことは重々承知しているでしょう。政治家にとって、支持層以外の国民は税金を搾り取るだけの便利な“ATM”に映っているのでは?」
なるほど、たとえネットで「増税メガネ」と揶揄されようと、世論調査で内閣支持率が低迷しようとも岸田首相にとって「かまわない」のかもしれない。ネット上では、岸田政権への不満とともに、
アホなのは選挙に行かない国民
《岸田政権支持率最低の28%だそうです。残りの72%は選挙行かないから選挙やっても自民党圧勝だから大丈夫です》
《最近私は、岸田さんは「選挙行かないとこうなるよ!国民が政治に関心を持たないとどんどん悪くなるよ!」というのを全力で表してるのかなって思う》
《岸田もアホだと思うけど、独裁者じゃないんだから0から100まで全て政策決定してるわけじゃないあくまでもトップなだけ アホなのは官僚政治家選挙に行かない国民全部》
「選挙に行かない国民」への不満や怒り、呆れを表す声も大きくなり始めている。それでもーー、
「事前に苦戦を伝えられながらも10月の衆参補選で1勝1敗と、しっかり1議席は確保してみせた与党。さらに投票率も長崎4区は42%、徳島・高知区32%と過去最低のところを見ると、“な? やっぱり選挙行かないだろ?”との政治家の高笑いが聞こえてきそうですね」(前出・政治ジャーナリスト、以下同)
それでも遅ればせながら、投票率を上げる動きも出始めている。茨城県つくば市は全国初のインターネット投票を実施予定で、2024年の市長選・市議選ではスマートフォンでも投票できる仕組みを導入する。いずれは国政選挙でも投票所に赴かずとも自宅で投票できる日が来るかもしれない。
「ネット投票が解禁になれば投票率は格段に上がるでしょうが、公職選挙法に絡む問題は山積みな上に、わざわざ自分たちが議席を失いかねない法改正に動くかどうか。つくば市の選挙でも、スマホ投票の一方で、政府は投票所に赴けない高齢者の自宅近くに投票箱を積んだ車を走らせる“アナログ”式を推進する予定です。それこそ迅速で積極的にデジタル推進してきたマイナンバーを使えば、ネット投票も並行してできそうですが(苦笑)」