誰かの悪口を言っていること、聞いたことない
ステージを降りたときのHEATHさんの“素顔”を、歌舞伎町でロックバーを経営していた力也さんはこう思い返す。
「X JAPANの解散から再結成する間のころ、僕のお店にちょくちょく来てくれていたんです。もともと、あまりお酒を飲むほうではなく、全然乱れもしないし、キレイな飲み方でしたね。
X JAPANという成功したバンドのメンバーなのに、それで天狗になって、ほかのバンドを見下したりもしないし。HEATHさんが誰かの悪口を言っていること、聞いたことないですから」
また、この店でHEATHさんとよく会っていたという業界関係者は、彼のお茶目な部分をこう明かす。
「自分がSかMかわかる腕噛み診断、なんて言って酔ったお客さんに僕の腕を噛ませていたら、“オレはどっち?”と甘噛みしてくれました(笑)。本当に気さくな人で、入院した常連客が退院して店に来たとき“大丈夫ですか、心配してたんです”と言葉をかけたり。ただ、酒場で撮影はさせないように徹底していましたね。事務所から言われていたのと、自分の肖像権を商品だと自覚するプロ意識の両方があったと思います。
お酒は、X JAPANに入ってからYOSHIKIに鍛えられたそうです(笑)。普段は焼酎を飲んでいましたが、『Lynx』を一緒にやっていたISSAYさん、『Dope HEADs』を一緒にやっていたPATAさんと飲むときは、シャンパンでしたね」
ミュージシャン仲間や関係者からは、穏やかで気さくというHEATHさんの人柄のよさしか聞こえてこなかった。
突然この世を去ったHEATHさんだが、雲の上で先に逝ったhideさんやTAIJIさんと会えたのだろうか。もしかしたら3人で、活動休止状態のX JAPANの未来を憂いているかもしれないーー。
<取材・文/蒔田 稔>