作家として生きてきた80歳のまり子は、自分が息子や孫夫婦から邪魔者扱いされていることに気づき、家を出る決意をする。そんな中、長年執筆してきた雑誌から打ち切りを言い渡され、新しいウェブ雑誌を立ち上げる夢をかかげて動き出す。
ここに注目!
「介護や医療など、重苦しい社会問題がリアルに描かれていますが、前向きな姿勢でさまざまな試練を乗り越えていくまり子の姿は爽快。年をとることも楽しそうと、シニアライフへの希望が湧いてきます」
おざわゆき/講談社、全16巻完結/726円ほか
知られざる名作をご紹介!
『はなものがたり』
女性の心に寄り添うシニア漫画。
長年連れ添った夫を亡くしたはな代と、独り身で化粧品専門店を営む芳子。まったく違う人生を歩んできたふたりが出会い、惹かれ合い、互いを知っていくことに。
読んでほしい!おすすめポイント
「年々、さまざまなシニア漫画が登場していますが、基本的にはシニアとしての生きづらさがメインで描かれています。しかし、この作品では“女性はこうあるべきだ”という女性観が描かれていることが特徴的です。
シニア漫画の主人公と同世代の人は、こういった固定観念に縛られ、悩まされた経験があるのではないでしょうか。はな代は『ある時代の常識は何十年もたてば非常識になる』と自信を取り戻しました。
ぜひこの作品を読んで、古い価値観や周囲の言葉を気にせず、毎日を楽しんでもらえたらと思います」
schwinn/KADOKAWA、全3巻完結/1~2巻各704円、3巻748円
教えてくれたのは……原田佳織さん●福岡県の北九州市漫画ミュージアム図書担当。7万冊の漫画を読める閲覧ゾーンを管理している。
取材・文/後藤るつ子