寂しいでしょって言われるけれど、いまが一番満ち足りていて幸せ

 50歳のとき、1LDKの中古戸建てを購入し、お気に入りの住まいでおひとりさまライフを送るrumae(以下、ルマエ)さん(57)。もとは夫と娘の3人暮らしだったが、1つ年上の夫に先立たれ、いまは愛犬とともに過ごす日々。

「25歳で結婚し、29歳で長女が誕生しました。主人とは39歳のときに死別しています。もともと肝臓に持病があったんですが、こんなに早く亡くなるとは思っていませんでした」(ルマエさん、以下同)

 そこから女手一つの子育てが始まる。ひとり娘は当時9歳。パート先で正社員に登用してもらった給料と遺族年金を得てやりくりしたが、長女が私立高校に進んだため家計は火の車となった。

「高い授業料のほか、塾や習い事代で教育費の負担が大きい。働きづめの毎日でした。体調が悪くても仕事を休むことができず、家事も全部ひとりでこなさないといけない。そういった大変さを理解してくれる相手がいなかったのもつらかったですね

 加えて、子どもの反抗期に悩まされたという。

「仕事が忙しく、娘の学校行事に十分参加することができなかったからでしょう。また、ひとり親のコンプレックスもあったはずです。いまでも娘に『愛情が足りなかった』などと言われるので。

 ただ仕事を頑張ったからこそ、娘の希望の高校や専門学校に通わせることができた。そう話すと納得してくれます」

 就職と同時に子どもは家を出て独立。そのころ50歳目前だったルマエさんに更年期障害の症状が現れるように。不調に苦しみ、病院通いの日々を送る中、大きな転機が訪れる。

「“断捨離”をしたんです。ミニマリストさんのブログを見て、すごく心地いい暮らしをしているのが伝わってきたから。かたや自分の部屋はモノだらけで気持ちも鬱々としている。ひとり暮らしになったので終活も兼ね、身軽になりたいと思って実行しました」

 ベッド、食器棚、チェストなど大型家具を処分。アクセサリー、カバンや洋服類など不用品は宅配買い取りで現金化。2年余りかけて断捨離したら、次々とツキが巡ってくるようになったそうだ。