たしかに一軍選手の名前を把握していないような王会長の物言いは不自然に映るが、一方で山川獲得をはじめとする一連の騒動、さらには昨今のチーム編成にも深く関わってはいない、「肩書きは“表向き”のもの」との見向きもある。
「王さんが言うのなら」は通用しない時代
かつて記者として長らく現場取材を重ねたベテランスポーツジャーナリストの弁。
「昨年末に台湾で開催された『アジア野球選手権大会』の始球式を務めたように、まだまだ元気な姿を見せる王さんですが、83歳の高齢に加えて大病も患った身。“相談役”としてお伺いを立てられることはあるでしょうが、ここ数年は現場に立つことよりもグラウンド外で普及活動に務めていた印象です。
それでも会長として意見を求められ、そして矢面に立たされるのは心苦しく思います。我々世代にとって王さん、長嶋(茂雄)さんは今なお大スターですが、ネット世代にはもう“王さんが言うのなら”は通用しないということ(苦笑)」
今回の文春取材で漏らした「甲斐野っていうのが」発言も、話を聞かれたから自分が知っていること、素直な私見を述べたにすぎないのかもしれない。
「“コメントはない”と説明責任を果たさずに騒動収束を図りたい三笠GMですが、その分、昔から取材を断らない王さんにマイクが向くのは当然のこと。私情も挟みますが、フロントの“不手際”でこれ以上、ファンのため、子どもたちのために球界に尽力してきた王さんの手を煩わせる事態を招かないでほしいね」(同・スポーツジャーナリスト)
ファンのためのプロ野球、その原点に帰ったチームになれるのだろうか。