「“チクビの力”は本当にすごかった。ポロリが出た瞬間、視聴率がドーンと跳ね上がる。女性が水着で登場する水泳大会とか、ドラマに謎の入浴シーンがあったり。昭和のテレビ番組では、必ずチクビを出す工夫をしていました」
エロから社会問題まで取り扱った『11PM』(日本テレビ系)や『トゥナイト』(テレビ朝日系)といった情報番組から、セクシー番組『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)など、女性の胸が露出する深夜番組もあった。なぜ消えたのか。
「20世紀が終わるころから、だんだんとやりづらくなったんです。テレビ局へのクレームが増え、時世の流れの中で“チクビは消さなきゃマズいんじゃないか”と、自主規制をしていったのだと思います。最後までチクビを出せたのは、実はニュース番組なんですよ。海外の違法風俗の摘発映像を流したとき、警察官と一緒にトップレスの女性がいて、そのまま流したのを覚えています。このときも、視聴率は伸びました」(鎮目氏、以下同)
ドッキリもパイ投げも
素人に仕掛けるドッキリ番組もなくなった。
「当時は街中で素人に向けて無許可でドッキリを仕掛けていました。印象に残っているのは、予備校の出入り口に油をまいて、ツルツルにして受験生を滑らせるという企画。受験生で滑りたい人なんかいないわけですから、テレビで見てヒドイ企画だなと思ったのを覚えています。素人へのドッキリは、次第に出演承諾書をもらうことが必要になりましたが、この承諾書がもらいにくいということで、なくなっていきましたね」
テレビは、私たちが生活する中で関わることのない犯罪現場も映像に収めてきたが、これにもNGが出た。
「違法薬物の取引現場では、薬物を買うフリをして隠し撮りをするんです。過去にそうした現場を撮影して、流したことがありますが、隠し撮りがダメになりました。理由として、隠し撮りが倫理的にダメということもありますが、犯罪行為を目にしたら、まずは止めないといけないといわれるようになったのです」
コント番組で定番だったモノも、最近はとんと見ない。
「大量の生クリームがのったパイを顔にぶつける“パイ投げ”は見かけなくなりました。食べ物を粗末にするということがNGになったのでしょう」