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最近は美男美女の役者が多い。なにせ「狸オヤジ」と呼ばれた徳川家康を松本潤が演じる時代だ。
そんな中、それ以外のタイプの人が損をしているかというと、そうでもない。「演技派」「個性派」などとしてむしろ重宝され、ある意味、隙間産業的な価値を得られるのだ。
阿部サダヲもそのひとりだろう。イケメンではないが、化粧映えする顔という声もあり、カメレオン俳優という評価も受けている。
エキセントリックな芸名の由来
'92年のデビュー以来、膨大な数のドラマ、映画、舞台に出演してきて、現在は『不適切にもほどがある!』(TBS系)で主演中だ。長年の盟友でもある脚本家・宮藤官九郎ならではの意表を突いた物語で、彼の役は昭和から令和へとタイムスリップしてしまい、不適切な言動を連発していくというもの。宮藤のスタンスもまた、隙間産業的といえる。
阿部の代表作『マルモのおきて』(フジテレビ系)も隙間っぽかった。日曜劇場『JIN-仁-』(TBS系)の裏で苦戦が予想されたが、子どもと動物を使って対抗した異色作だ。友人の忘れ形見を引き取り、家族になろうとする中年男を好演。東日本大震災直後のクールで、癒しを求める世間の空気にもハマり、大ヒットした。
そもそも、芸名からして、普通ではない。劇団『大人計画』に入る際、主宰の松尾スズキにつけられたものだが、当初は血色の悪さから「死体写真」という芸名を提案されたという。
それは断ったものの、名字が阿部であることから「阿部定」をもじった「阿部サダヲ」にされてしまった。ちなみに、阿部定とは昭和初期、不倫相手を殺してその局所を切り取り持ち去る事件を起こした女性の名前だ。