評価されている楽曲も

 逆に手話歌として評価されているもののひとつとして、『パプリカ』を挙げる。

「『パプリカ』は全編手話バージョンが制作され、きちんとした監修が入り完成したもの。歌っているのが子どもたちで、変な色をつけることもない。歌詞もわかりやすく、サビだけ手話のように途中でぶつ切りされていないので入ってきやすいと評判でした」

 手話歌として誤解されている歌についても言及する。

SMAPの『世界に一つだけの花』にも、サビで手話のような振り付けがありますがメンバー自身も“手話ではなく振り付けです”と公言しています。当時、SMAPや旧ジャニーズのアーティストは手話などをとてもデリケートに扱っていたので、簡単に“手話に挑戦しました”とは言いませんでしたね」

かつてはBiSHの一員として活動していたアイナ・ジ・エンド(グループの公式Xより)
かつてはBiSHの一員として活動していたアイナ・ジ・エンド(グループの公式Xより)
【写真】「健常者の傲慢」物議を醸したアイナ・ジ・エンドの楽曲MV

 冒頭のアイナ・ジ・エンドに話は戻り、

「こうして話題になると“手話を知ってもらうきっかけになる”と言う人たちがいます。それを決めるのは聴者ではなく、ろう者であるべき」

 と、お灸をすえる。

 アイナの活動に詳しい音楽ライターは、

「アイナさんは言葉を大切にするアーティストなので、手話を軽んじているなどということは決してない。誰よりも表現には気を配っているはず」

 “ダンス”と表現しなければ、こんなに炎上することもなかったのではないだろうか。