「プライベートでいたらいいなと思うのは、相棒というより秘書ですね。自分ひとりだと手が足りないと思うことがよくあるので、手伝ってもらえたらうれしいです」
人気児童書シリーズ『おしりたんてい』の劇場版長編第二弾『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒よ』で、おしりたんていのかつての相棒・スイセンの声を演じている仲里依紗。
好きなものを好きと言っていい時代
「『おしりたんてい』シリーズは、息子に読み聞かせをしていた作品。私も小さいころに見たアニメーションを今でも覚えているように、子どものころに触れた作品は記憶に残ると思うので、そういうものに参加できたことはすごくうれしいです」
10年前に突如、おしりたんていの前から姿を消したスイセン。彼女から事務所に届いた一箱のチョコレートをきっかけに、おしりたんていは世界を揺るがす大事件に巻き込まれていく。
「“同じ人なの?”と思ってしまうくらい、スイセンはピュアな女の子からクールでミステリアスな女性へと10年でキャラクターが変わっています。実写であれば、ビジュアルから変えていくので気持ちも自然と入っていくのですが、今回はその変化を声だけで演じないといけない。
テクニックが必要だと感じましたし、なかなかプロの声優の方と同じようにはできないので、どうしたら声だけで伝えることができるだろうと悩みました。現在のクールなスイセンは等身大でできるのですが、10年前の彼女を自分としては全力で演じても“もう少しかわいくできますか?”と言われてしまって。そのさじ加減が難しかったですね」
スイセンのように仲自身にも、この10年で大きな変化があったと語る。
「去年、結婚10周年を迎えたのですが、夫は私がかなり変わったと感じていると思います(笑)。それは、自分が好きなものを好きと言っていい時代になったことが大きいですね。以前は“女優とは”と多くの人がイメージする枠に収まらないといけない圧力のようなものを感じることがあったのですが、それがなくなってきている。私自身“自分らしく生きていいよ”と誰かの背中を押すことができるようになってきたように思っていて。なんて言って、ただ自由にしているだけなんですけどね」
周囲の人を笑顔にしてくれるハッピーオーラをまとっている仲。そんな彼女に10年前から変わらない部分があるかを聞くと、
「こういう洋服を着て、明るくわーっと話しますけど、実は人見知りです。性格診断テストをしてみたら、内向的か外向的かでいうと内向的という診断で。仲のいい、近しい人たちからは“そうだよね”と言われますし、小学校の担任の先生からも“昔は、自分から前に出る子じゃなかった”って。もしいまの私が、前に出ていきたい人に見えるようなら、それは目の錯覚というか、トリックアートのようなものです(笑)」
時にはひとりになりたい時間もあるという。例をあげてくれたのは、家族でよく行くという映画館に行ったとき。
「夫と映画を見ていると、上映中によく話しかけられるんです。集中できないのでプラスでお金を払って仕切りのある席にしたいと伝えると“えー!”と反対されて(苦笑)。でも、ひとりの時間はなるべくつくるようにしています。身体の調子がよくないと、心に影響が出るし、パフォーマンスが下がってしまうので。年を重ねるごとに、健康管理が重要だと感じるようになってきたので、定期的にジムに通っています。行かないと、逆に疲れを感じたり、肩こりがひどくなってしまったりするので」
家族といる時間を大切にしながらドラマや映画、CMへ出演し、自身のYouTubeチャンネルに投稿する動画の撮影や編集をし、アパレルブランドの仕事にも取り組む。多忙を極める日々を送っているから、ひとり時間は分刻みのスケジュールになる。
「ぼーっとする時間はないです(笑)。昨日も時間ができたので、調子が悪くて気になっていたテレビを買いに行きました。夫にSNSで伝えたら“今度の休みの日に”と返事がきたのですが、次にふたりが一緒に休めるのがいつになるかわからない。なので、ひとりで電器屋さんに行って、店員さんの説明を聞いて決めてきました。一生懸命、説明してくださる店員さんだったので、評価につながるといいなと思って即決しました!」