血糖値ちょい高めで危険な低血糖を防ぐ

 血糖値が高いと気になる、糖尿病のリスク。空腹時血糖値は100mg/dl以下が正常域、100台の中盤以降は要注意とされている。しかし和田先生は、高齢者は基準よりやや高めにコントロールするほうがよいと話す。

血糖値を高めに維持する目的は、低血糖によるトラブルを防ぐことです。低血糖は、めまいや震えのほか、最悪の場合は死亡することもあり大変危険です。

 近年の研究では、高血糖薬の効きすぎなどで高齢者が低血糖発作を何度も起こすと、アルツハイマー型認知症のリスクが高まるとわかってきています。高齢者は数値が上がることよりも、下がりすぎるほうが危険なのです」

 血糖値がかなり高い状態であれば薬の必要があるが、さらに食事を制限しすぎるのは要注意。

「糖尿病は血糖値が上がる病気と思っている人がいますが、糖尿病は血糖値が動きすぎることに気をつける必要があります。糖尿病の高齢者血糖値が変動しやすいので、薬に加えて食事でも糖質を制限して数値を下げようとするのはおすすめしません」

やせ型は死亡リスク高!ちょい太めで健康長寿

 一方、健康診断の結果で気にしたほうがよい項目は、肥満度を表すBMI。基準値は18.5から24.9とされ、18.5未満はやせ型、25から30だと軽度の肥満とされて減量をすすめられる。

 やせ型であれば問題ないと思いがちだが、実は、高齢者のやせ型は死亡リスクが高い。

「宮城県で行われた大規模調査では、BMI18.5未満のやせ型の人は、やや太めの人よりも6年から8年短命だということがわかっています。高齢者はやせると筋肉量が落ち、体力や運動機能が低下して、転倒や骨折につながります。

 やや太めであることは栄養状態がよいことの証しです。やせぎみの高齢者は、少しでも体重を増やすよう、しっかり栄養をとってください」

 また、血液中のタンパク質の濃度を測ったアルブミン値が低いのも要注意。

「アルブミンは、肝臓でつくられるタンパク質の一種です。この数値が低いのは、栄養不足の兆候。肝障害がある場合も数値が低くなりますが、それはまれなケースです。60歳をすぎた女性にとって、低栄養は万病のもと。

 筋肉量の低下による骨折のリスクの増加や、免疫力の低下につながります。糖質や脂質を制限せず、栄養バランスを考えながら食事を楽しむことも大切です」