記者たちの間には取材する側・される側ではなく、人と人としての対話を求める空気感が生じていたとする。それでも、
「何で人として何も答えないんだ。しかも信頼している人を裏切っているのに何で答えないんだっていう、人間同士で会話しようという空気感になったのに、それすらも無視したたまま乗り込んで帰っていったという形なので、本当の真実は別のところにあるんじゃないか? ないと思いますが、思わせてしまうような態度だった」
協力の姿勢を見せなかった水原被告の姿勢に、ついヒートアップしてしまったのか、まるで一連の真相を疑うかのような発言も飛び出すのだった。
“口止め”はわかりきっていること
「気持ちは痛いほどわかりますが」と苦笑いするのは、かつて全国紙社会部記者として対人取材にあたっていたベテランジャーナリスト。
「そもそも司法取引が成立している事件で、弁護士から“何も話すな”と口止めされていることは記者なら全員がわかりきっていること。それでも質問を投げかけ続けて、たとえ“すみません”のひと言でも取り付けるのが記者の仕事。
今回は、そのひと言すら引き出せず、記者たちの“完敗”とも言える結果。その言い訳なのでしょうが、“人間同士で対話しようとした”などと、まるで記者側に落ち度はない、水原さんの態度がおかしい、などと視聴者を誘導するのは少々傲慢な論理だったのかなと(苦笑)。
そもそも勝手に集まってきたのは報道陣であって、水原さんには応じる義務もなければ答える義務もないわけで。まあ、私も現地にいたらもちろん法廷に駆けつけますし、ひと言でも答えるまで質問を投げ続けますけどね」
記者には記者なりの苦労があるということで。