金髪美女を連れてフラッと現れた

ーーおちゃめな冗談が飛び交い、とっても仲良しなふたり。普段から交流も?

 たま~に一緒にゴルフをすることはありますけど、基本的にはプライベートで会わない。だからこそ、タカとユージでいられるのかなという気がします。

柴田 本当に。テレビシリーズのときから、“撮影が早く終わったからみんなで飲みに行かない?”っていうことが1回もないんですよ。浅野(温子)さんや(仲村)トオルくんを含めて。
 そんなプライベートの部分に立ち入らない微妙な距離感だからこそ、いつも新鮮で、いつも楽しくて、いつも仲良し。

 だから、いつもタカとユージのまま。舘ひろしと柴田恭兵という関係はないんですよ、きっと。

柴田 よーいドンのタイミングから、ずーーーっと仲良しなんですよね。

 そうだよね。それぞれにないところがみんなあって。お互いがお互いを支え合っているんじゃないかな。恭サマは僕にないものを持っているから、やっぱりすごいと思う。

 ふたりが並んでいると似ているように見えるかもしれませんが、でも俳優としては重なり合うところがない。立ち位置のようなものは、対角線くらい離れている。感性とか、芝居の仕方とかね。だから、面白いんじゃないのかな。

柴田 『あぶない刑事』('86年)でコンビを組むってお話をいただく数年前かな?近所にある、食事ができるプールバーに行ったんですよ。そこに舘さんがフラッと現れて。金髪の美女を連れて(笑)。

 あははははは。

柴田 すっごくカッコよかったんです。すっごくダンディーで。

 やめてください!

柴田 その何年か後に“舘さんと一緒にやりませんか?”と『あぶない刑事』のお話をいただいて。まったく僕にはないカッコよさ、ダンディーさがあるから、“ぜひやりましょう”とお返事しました。舘さんは、ずーーーっとダンディーです。ずーーーっと女性のことしか考えていない(笑)。

 それはまったく否定しませんけど(笑)。

柴田 プールバーでは“見かけた”という感じで。ちゃんと対面したのは『あぶない刑事』の撮影初日でしたね。

ーー最初から息ピッタリだったんですか?

柴田 そうですね。ただ最初は僕がアドリブを言ったりすると、舘さんが戸惑う感じがあったかもしれない。それを舘さんが“なんかうまくできていない。カッコ悪い感じがする”と僕やプロデューサーに相談してくれて。

 そのときに“やっぱり、すごく素敵な人だな”と思ったんですね。なかなか言いづらいじゃないですか。でも、根っこの部分でとっても優しかったり、弱い部分も見せてくれたりする。

 そんなことがあって“この人とだったら、きっと素敵なものができる”と確信しました。そもそも、舘さんはアドリブを受け入れても受け入れなくても、そこにいるだけでカッコいいんだから。

『あぶない刑事』撮影の前に“どういうお芝居をする人なんだろう”と思って、恭サマの映画『チ・ン・ピ・ラ』('84年)を見て臨んだんですが、それまでに見たことのないようなお芝居をする人で。

柴田 あはははは。

 アドリブもだし、とにかくカッコよかったんです。ところがね、僕は最初、それをなんだか受け入れられなくて“変わったお芝居をする人だな”なんて思った。でも撮影が始まって1か月もすると、それが恭サマへの嫉妬だったことに気づいたんですね。

 恭サマは、僕にできないお芝居をさらっとやる人だと。そこからはすごく気が楽になって、恭サマのことを心からリスペクトできるようになった。そして、いろんなことがすごくうまく働き始めたような気がするかな。