幸か不幸か、古市氏の投稿をきっかけに利用者が増え始めたようで、一時は200人ほどがログインしていた。しかし、何らかのトラブルが発生したのか、5月30日には《メンテナンス中》と表示されたまま利用できなくなり、翌日には復旧の目途が立たないとして当初の予定よりも1日早く開設終了になってしまった。

 “税金のムダ”という批判がある一方、ぷらっとば~すのコンセプトや取り組みそのものを評価する声があるのもまた事実。企画した内閣府の孤独・孤立対策推進室はどのように考えているのか、取材を申し込むとメールでの回答を得られた。

「一括しての費用は約3450万円」

 まずは、ぷらっとば~すを開設した意図について。

孤独・孤立対策の広報の一環として実施いたしました。政府の孤独・孤立対策の基本情報や、この5月の月間中に孤独・孤立の問題についての社会の理解を深めるために行っている、各地のNPO等の活動の見える化、孤独・孤立の問題に関する理解者を広げるためのイベントの開催、孤独・孤立に悩む方に対する相談員による相談場所、孤独・孤立対策の重要な担い手であるNPO向けの情報発信、などをワンストップで提供できないか検証する観点でメタバースは広報のツールとしてもポテンシャルが高いと考え、今回採用いたしました。政府から発信する情報はURLなどが散逸して分かりづらいと考えており、一つの空間から様々なリソースにアクセスできるところに注目しております」

 開発、運営にかかった費用については、

「ぷらっとば~すに係る費用以外にも、強化月間の広報にかかる他の業務とその費用も一括しての発注としておりますため、ぷらっとば~すのみを取り出してお答えすることは難しいです。一括しての費用は約3450万円です

 ネット上で指摘された“コミュニケーション禁止”への批判に対する見解は、

「現に孤独・孤立状態にある方や他者とのコミュニケーションの苦手な方にあわせて、相互のコミュニケーションは不可といたしました。メタバースの通常の使い方とは異なる活用であることは認識の上で、利用者の安全性確保を最優先する運用を行いました

 最後に、ぷらっとば~すの今後の運用について尋ねると、

「今回はいわば試行実施であり、孤独・孤立対策強化月間である5月限定の運用としました。メタバース空間の活用については、孤独・孤立の広報手段や、孤独・孤立に悩む方の相談の場として効果的かどうかなど、今回の試行結果を踏まえて今後よく検討してまいりたいと考えています」

 とのことだった。

 本来の目的とは異なる形で注目を浴びてしまったぷらっとば~す。今回の反省が来年の強化月間にどのように生かされるのか、注目したい。