佳子さまにも影響を及ぼす

女性宮家創設の議論は愛子さまにも影響する(写真は5月29日)
女性宮家創設の議論は愛子さまにも影響する(写真は5月29日)
【写真】姉の小室眞子さんから譲り受けた“勝負ワンピース”で式典に出席した佳子さま

 英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんによると、ギリシャにおけるジェンダー平等の試みは、佳子さまにも影響を及ぼすだろうという。

「デンマーク、ノルウェーなどでは女性首相の就任は当たり前となっています。王位の継承に関しても、かなり前に男子優先だったのが第1子優先となりました。日本でいうなれば、女性天皇を認めることと似ているかもしれません。北欧から始まったジェンダー平等の動きに、ギリシャも続こうとしているかのようです。その第一歩なのか、初の女性大統領が誕生しました。佳子さまも大いにインスピレーションを受けられるはずで、学ぶことは多かったかもしれません」

 今まさに、日本の皇室でも“女性皇族の待遇”について話題となっている。

「安定的な皇位継承と皇族数の確保を目的として、議論が活発化しており、女性皇族が結婚後も身分を保持する案と、旧宮家の男系男子を養子に迎える案の2つを議論しています。女性皇族が結婚後も身分を保持する案が通れば、これまで存在しなかった女性宮家の創設が認められることにつながる」(皇室担当記者)

 女性宮家の創設は、ある意味、ジェンダー平等への大きな一歩のように思えるが、以前から佳子さまは「結婚して皇室から出たい」というご希望があるとも報じられてきた。

 前出の河西准教授は「自己矛盾に陥ってしまうのでは」と話す。

「現行の皇室典範では、皇室の皇位継承は男系男子が優先されています。この体制のままジェンダー平等を推し進めて結婚後も女性が皇室に残った場合、佳子さまは結婚しても“皇室を離れたいのに離れられない”という自己矛盾に陥るおそれがあります。ただ、自己矛盾に陥ることをわかっていて、それでもジェンダー平等を進めようとする発言をされている可能性もあります」(河西准教授、以下同)

 自己矛盾に陥りながらも、提言を続ける理由とは─。

「国民に切実な思いだと伝えることができるし、こうして記事になることでジェンダー平等の考え方を広めていくことにつながります。ジェンダー平等をあえて提言することで、現在の皇室に問題提起をされているのかもしれません」

 ギリシャ初の女性大統領との接見が、プリンセスを奮い立たせるか。

多賀幹子 ジャーナリスト。ニューヨークとロンドンに、合わせて10年以上在住し、教育、女性、英王室などをテーマに取材。『孤独は社会問題』ほか著書多数
君塚直隆 関東学院大学国際文化学部教授。イギリス政治外交史などを専門とし、著書は『立憲君主制の現在─日本人は「象徴天皇」を維持できるか─』ほか多数
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数