昭和天皇のアドバイス

香淳皇后の20回目の命日に際し「香淳皇后二十年式年祭の儀」に参列した、佳子さまと眞子さん(2020年6月16日)
香淳皇后の20回目の命日に際し「香淳皇后二十年式年祭の儀」に参列した、佳子さまと眞子さん(2020年6月16日)
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

《(略)私たちが学校の話をしたりとか、普段の生活の話をしたりということが多かったように思う。どちらかというと昭和天皇は聞き役だった。(略)吹上御所から帰る前に、昭和天皇が『ヒガンバナがきれいに咲いているから、それを見に行こうか』というので、昭和天皇もこちらの帰る道筋の途中まで行かれて、一緒にヒガンバナを見たこと、そして、吹上御所の庭を散歩中に、シメジが生えているからというので案内してくださったことがあった》

 また、秋篠宮さまが外国を訪れると言うと昭和天皇は「じゃあ、親善に努めるように」と、必ずアドバイスしたという。おそらく、香淳皇后も夫と一緒に孫である秋篠宮さまたちの学校での話題などを、ニコニコとふくよかな笑顔で聞いていたと思われる。

 以前、この連載で今年は明治天皇の后、昭憲皇太后没後110年にあたり、4月12日、佳子さまは明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮を参拝したと触れた。昭憲皇太后は香淳皇后から見て祖母にあたる。

 皇室には、香淳皇后や昭憲皇太后ほか女性皇族たちが代々、築き上げてきた長くて重い歴史と伝統がある。それをしっかりと受け継ぎ、次世代へとつなぐことは内親王である佳子さまの重要な役割でもある。

 ギリシャ公式訪問を無事に終えた佳子さまは6月7日、東京都八王子市の昭和天皇の武蔵野陵と香淳皇后が眠る武蔵野東陵を参拝した。曽祖母の命日はもうすぐだ。幼いころの思い出に刻まれた曽祖母に、佳子さまは何を語りかけたのだろうか。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など