雅子さまの猫のお話
「雅子さまは、小さいバッグから猫の写真を7〜8枚取り出してお見せになり、“猫を2匹飼っております。この子は野良で生まれて、お母さんと子どもたちがいます”と、しばらくは雅子さまの猫についてのお話が楽しく続きました。私も思わず雅子さまのお話に聞き入りながら、時間がたつのを忘れてしまいました」(横尾氏、以下同)
愛子さまからは、こんなうれしいエピソードを耳にしたという。
「園遊会の前夜に“横尾さんにお見せするんだと、みんなで猫の写真を選びました”というお話を愛子さまからお聞きしました。天皇ご一家のお心の優しさに感動し、園遊会に招かれていることさえ忘れて、もっとお話を続けたいと思いました。もうこのような機会はないと思いますが、よい思い出になりました」
しかし、その直後、信子さまとのお話しの最中に横尾さんは突然、倒れ込んでしまう。
「ひどい難聴を患っているため、自分の声が聞こえなくなることがあります。信子さまとお話ししている際、そうした症状が出てしまったので、信子さまに失礼だと思い、身を引きました。その後、宮内庁の方がすぐに救急センターに案内してくれました。翌日には、宮内庁を通して信子さまから“体調は大丈夫ですか?”という労りのメールが届きました」
ただ、横尾さんの状態について、猫談議でひときわ盛り上がった雅子さまに伝えられることはなかったというのだ。
象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授は“過保護”ともいえる宮内庁の体制は、両者の関係性が影響しているという。
「雅子さまに伝えると“話を長引かせてしまったせいだ”と思い詰めてしまう可能性があると思うので、横尾さんの件を伝えなかった宮内庁の意図も理解できます。しかし、雅子さまと宮内庁の間で十分な信頼関係が築けていれば、雅子さまに伝えても、心労につながることはなかったのではないでしょうか」