影木さんは、この出来事を機に「親の言うことが絶対ではないと気づいた」と振り返る。
「『交際NGにするなら、結婚までサポートしてくれよ……』というのが本音でした(笑)。実は、私が大学生のころに両親がお見合いをセッティングしてくれたのですが、当時は同人誌の執筆活動に夢中だったので結局お断りしたんです。両親も諦めたのか、その後は特に何も言われなくなり、アラサーになりました。私の年代には、私と同じようなことを親から言われたために、超箱入り娘になっている女性も多いように感じます」
日本は家庭に性教育を委ねすぎていた
こうした自身の経験から“性教育”の重要さを実感したという。
「日本は、これまで家庭に性教育を委ねすぎたのでは、と思います。価値観や情報は変化し続けるわけですから、ほかの科目と同じように、学校で男女交際やセックス、結婚に関する正しい性教育が受けられるようになれば、私のような経験をする人は減るはずですし、少子化問題の解消にもつながるのではないでしょうか」
同書に書かれているのは、彼女の恋愛や婚活体験記だけではない。誰もが不安を抱える“お金”に関する実用的な内容も含まれている。
「『お金の話は下品』と考える人もいますが、実際は人生にかかわるとても大切なことだということを、以前から周知させておきたかったんです。特に金融投資は、早いうちに始めたほうがメリットが大きいですから。私が投資を始めたのは、10年ほど前に自律神経系の持病を抱えてしまったのがきっかけです。仕事は順調だったのですが、むちゃな働き方で不規則な生活を送り続けていたせいで、すっかり体調を崩してしまったんですね」
結婚を考えたものの、相手の収入に頼りきりたいわけではない。まずは自分自身のお金の不安を軽くするために、投資を始めたという。
「結婚する人もしない人も、自分がひとりで生きていけるだけのお金は持っていてほしいと思います。結婚しても金銭的な理由で離婚に踏み出せなかったり、自分の人生を自由に選択できなかったりするのは本当に残念ですから、自衛する必要があるんですよね」
値動きに一喜一憂しないのが、長く続けるコツ、と影木さん。
「実は、うちの家系は全員が麻雀好きだったりと、ギャンブラーなので(笑)、投資もギャンブル感覚で楽しんでいるというか。もちろん、将来を見据えた金融投資と、ギャンブルはまったくの別物ですが、株価が下がっても『よし、仕事を頑張るか!』と切り替えられるので、性格的にも向いていると思います」
かくいう影木さんは、収入面ではかなり早い段階で“自立”していた。学生時代は同人誌活動とアルバイトに明け暮れ、大学卒業後には出版社に入社し漫画編集者の道へ。