間違った肉の食べ方に潜む3つのリスク
では具体的に何がよくないのか。まず、タンパク質に含まれる必須アミノ酸の一つ、メチオニンという物質。
「メチオニンは、肉類、鶏卵、魚介類、乳製品に多く含まれています。必要以上にとりすぎると、血管の中に蓄積して悪玉コレステロールと結合することで、動脈硬化を引き起こします」
カロリー制限の効果を検証した動物実験では、栄養全般でカロリー制限をした場合、寿命は延びたが筋力が低下。一方、必須アミノ酸(タンパク質)を多く含んだエサでカロリー制限をした群では、筋力は保持されたが、腎機能が悪化し寿命が短くなった。
しかし、必須アミノ酸のうちメチオニンの含有量を減らした場合、カロリー制限をしても筋力が維持され、寿命も延びたというデータが出ている。
「つまり、タンパク質をたくさんとることで筋力は維持できますが、そこに含まれるメチオニンをとると、腎臓機能が衰え、カロリー制限による長生きのメリットが得られなくなってしまうのです」
メチオニンは、鶏むね肉や豚ロース赤身肉などに多く含まれる。“むね肉や赤身肉は低脂質でヘルシー”といったイメージだけで、偏った食べ方をすることは避けるべきだ。
「同じタンパク質でも、大豆製品などの植物性タンパク質は、おしなべてメチオニンが少ないことがわかっています。タンパク質をとる際に選択肢がある場合は、動物性食品よりも、大豆製品などの植物性タンパク質を選ぶのがおすすめです」
赤身肉やレバーがリンのとりすぎにつながる
他にも、腎臓のリスクとなるのが、加工食品などに多く含まれるリンの過剰摂取。
「リンは、私たちが生きていくうえで必須のミネラルで、カルシウムとともに骨格を形成する働きもあります。しかし、過剰に摂取することでリンとカルシウム、血液中のタンパク質が結びつくと、血管の内側を傷つけて炎症を起こし、腎臓の機能低下や老化を早めるのです」
なおリンには、食材にもともと含まれている有機リンと、加工食品の食品添加物として使われている無機リンがあり、身体への吸収率は有機リンが10~40%に対し、無機リンは約90%と非常に吸収されやすい。