「まずはファストフードやコンビニ食、加工食品の利用を減らすことが第一ですが、赤身肉や内臓肉にも比較的多く含まれるので注意が必要です。豚肩赤身肉や牛肩赤身肉、牛レバーは、タンパク質量のわりにリンが多いので、食べる頻度が高い人は見直しを」
貧血予防にレバーばかり食べるという食習慣もNGだ。
「近年の研究で、マグネシウムに腎臓を守る働きがあることが判明しています。マグネシウムは、ほうれん草など緑色の鮮やかな野菜に豊富に含まれますので、肉食が多い人は、副菜として積極的にとるといいでしょう」
腸で作られる悪玉菌も腎臓にリスクが
人間の腸内には約3万種もの細菌が生息しており、顕微鏡で見ると花畑(フローラ)のように見えるため、腸内フローラと呼ばれている。実はこの腸内フローラも腎臓と関係がある。
「タンパク質多めの食事を続けていると、腸内細菌のバランスが崩れて腸内フローラの中の悪玉菌が増え、そこから発生する毒素が腎臓にダメージをあたえます」
さらに、肉類はほとんどが腸で吸収されるので、便の量が減り、蠕動(ぜんどう)運動が弱まって便秘になりがち。便秘の人は慢性腎臓病のリスクが高まるというデータもある。
「腸内で産生される悪玉菌毒素を減らすためには、善玉菌のエサになる発酵性食物繊維の摂取が有効です」
身近な食品でいえば、“もち麦”。発酵性食物繊維の一つであるβ(ベータ)グルカンを豊富に含むもち麦を肉と一緒に食べることで、悪玉菌による腎臓ダメージを軽減できる。
「一番のリスクは、肉の同じ部位ばかり食べる、連日食べるなどの極端な食べ方。腎臓のダメージを減らす食品と合わせたり、肉を植物性タンパク質に置き換えることを心がけましょう。
肉をまったく食べてはいけないということではなく、例えば週2回程度に抑えるなど、今から食生活を見直していくこと。それが今後の老化を緩やかにし、慢性腎臓病のリスクを下げることにつながります」
教えてくれたのは……高取優二先生●医学博士、腎臓専門医。埼友クリニック外来部長。抗加齢医学(アンチエイジング)の観点から、腎臓病を捉えなおす新たな手法に取り組んでいる。著書に『人は腎臓から老いていく』(アスコム)など。
取材・文/當間優子