最後の晩餐を届けるおばさんになるのが夢

 南谷さんは、子ども食堂を続けていけるよう、複数の事業を行って、安定した組織運営を目指している。そのひとつが「ぐるぐるランド」というランドセルリサイクル事業だ。

貧困などでランドセルが購入できない家庭に向けて、ユーズドランドセルにクリーニングを施し、安価再販を行っています。価格は2000~8000円ほど。最近は外国人家庭でのご利用も多いですね。使わないランドセルがある方はぜひ寄付をお願いします」

 今年は就労継続支援B型と若者支援のできる居場所を開所する予定だという。精力的に活動する南谷さんだが、最終的なゴールはどこになるのだろうか。

「やっぱり私の中では“食”が一番なんです。今後は障がい者向けのきざみ食やとろみ食の開発もしたいと考えています。

 そしてホスピスなどで最後の晩餐を届けてあげられるおばさんになりたい、幸せになれるごはんを作っていくことが夢ですね」

 NPO法人いきばの「いきば」とは、「生きる場所」「行きやすい場所」「粋な場所」「イキイキする場所」「良い気の場所」のことだ。

 学校に行けない悩みを抱える子、親とうまくいかなくて相談しに来る子、障がいのある子どもたち、シングルマザー、高齢者……と、今日も南谷さんは寄り添い続けて、笑顔で皆にフライパンを振っている。

<取材・文/垣内 栄>

かきうち・さかえ IT企業、編集プロダクション、出版社勤務を経て、 '02年よりフリーライター・編集者として活動。女性誌、経済誌、企業誌、書籍、WEBと幅広い媒体で、企画・編集・取材・執筆を担当している。
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取材協力/株式会社ドリームパスポート