目次
Page 1
ー 長男・小堺翔太が語る父の“素顔”
Page 2
ー 期せずして開いた芸能界への扉
Page 3
ー 小堺の初めてのテレビ出演 ー 新たな“扉”
Page 4
ー 飛び石の上を渡ってきた若手時代
Page 5
ー 大ピンチを救った大先輩の言葉
Page 6
ー 居心地がよすぎた人気舞台に幕を

「子どものころ、親父にしょっちゅう殴られていましたよ。階段から落とされたこともあって、僕が下でうずくまっていたら、母親がダーッて下りてきましてね。助けてくれるのかと思ったら、僕の横っ面に足をのっけて“お父さんの言ったこと、わかったな!”って(笑)」

長男・小堺翔太が語る父の“素顔”

芸能界の先輩としても父を尊敬しているという翔太
芸能界の先輩としても父を尊敬しているという翔太

 叱るとき、両親の意見が一致していなければ子どもが迷う。だから父親が手を上げたときは、母親も参戦する。「悪いことは悪い」と、徹底して叩き込むのが父・秀男さんと母・淑子さんの教育方針だった。

 1956(昭和31)年生まれの小堺一機は、今年68歳。自身も3人の子を育て上げた。フリーアナウンサーで長男の小堺翔太は、家庭での父の“素顔”をこう話す。

私が小学3年生くらいのとき、時間を忘れて夜遅くまで友達と公園で遊んでいたら、親たちが心配して大騒ぎになったことがありました。そのときに、“人さまに迷惑をかけるな”と、みんなが見ている前でパシッと……。でも、父に叩かれた記憶はそれだけです。普段は優しくて、面白い父親ですよ。

 今も同居しているんですが、家で仕事の話をするとき、私の仕事やSNSまで見てくれていると知り、ビックリすることがあります。常に好奇心のスイッチがオンになっている状態で、夕食の途中でいなくなったと思ったら、舞台のアイデアを書き始めていたり。ついこの間も、地下にある自分の部屋に下りていって、夜中の3時を過ぎても出てこないから心配していたら、時間を忘れて夢中で映画を見ていましたね」

 同じような証言はほかにもある。小堺の後輩芸人で、プライベートでも付き合いが深い、お笑いコンビ『ずん』のツッコミ役、やすが語る。

「5年前に『ジョーカー』が封切りになったとき、小堺さんは映画館で何と10回も見ているんです! しまいには“いいかげんにしてください”ってマネージャーさんが止めたそうですけど、“見るたびに発見があるんだよ”って、本当に楽しそうに話してくれました。

 小堺さん、ああ見えて酒豪でしてね。飲みながら映画の話をするときはものすごい熱量で、例えば『ゴッドファーザー』なんか冒頭からエンディングまで、モノマネを交えながら正確に再現できるんですよ」

 そんな酒席で小堺が決まって注文するのがウオッカベースのマティーニ。オリーブではなくレモンピールを浮かべた特注のカクテルは、『007』シリーズでジェームズ・ボンドが愛飲する、通称“ボンドマティーニ”。映画をこよなく愛する小堺の原体験は、幼いころに両親が与えてくれたものだった。