また、被害者の椅子に座りたがる人ほど、自分は出来ていないということは往々にしてあります。たとえば、'23年9月23日放送の『あのちゃんの電電電波』(テレビ東京)に出演した際、楽屋挨拶に行っているか聞かれた粗品「芸人の先輩はけっこう行くかな。だけど、もうそろそろやめようと思ってるよ」「高橋真麻とかは行かんかな? 井森美幸とか、つるの剛士は行かんかも。芸人の先輩やったら行くけど」と挨拶は芸人の先輩に限定していると思える発言をしていました。自分が俳優やタレントなど異業種の先輩に挨拶をしないのはアリで、キムタクのような異業種の先輩が挨拶を返してくれないのは許せないと暴露するのはいかがなものか。このように被害者ポジションを取る人は「自分がするのはいいけれど、相手にされたら許さない」というふうに、自分をたかーい棚にあげる傾向があるので注意が必要です。しかし、SNSは概して弱い者の味方ですし、オトコvsオンナ、良い人vs悪い人のように極端な対立が好まれるので、「国民的スターのウラの顔」的なネタは格好のトピックと言えるでしょう。

弱さを盾にした“強い者いじめ”

 もう一つ、イヤだなと思うのは、粗品の“口撃”を毒舌と評する人がいることです。最近の粗品は誰かに怒られてヤバいと思ったのでしょうか、YouTube動画で「1人で偏ったどっちかの意見っての言いたくないんですよ」「全部コントなんで。これ何回言わすの。これ僕の意見やないですから。1人でどっちの意見も言ってみるコーナーで、コントやて」とこれまでの発言が“作り物”であると主張していましたが、作り物なら実在の人物を貶める発言が許されるなんてことはありません。

 毒舌を吐けば注目を集めるでしょうが、自分の芸能人としてのイメージが下がる可能性も否定できません。それを受け入れる覚悟があるのか。また、ここまでは言っていいけど、ここからはダメというふうに、倫理観がはっきりしていれば「毒舌だけれど、問題を起こしたりしない」と支持してくれる人もいるはずです。しかし、粗品のように自分は安全な場所にいて、言い返せない人を選んでバラし、旗色が悪くなったら言い訳をするのは、弱さを盾にした“強い者いじめ”ではないでしょうか。